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【議決事項】

 賛助会員入会の件
 大森専務理事から,団体賛助会員1団体として,(社) 日本動物病院福祉協会の入会の承認が求められた後,了承された.
【協議事項】
1 公益法人制度改革の件
 (1)大森専務理事から,今後の公益法人制度改革のスケジュールについては,来年の3月に公益認定等委員会によりガイドラインが策定され,全体像が判明する.さらに20年12月に3法が施行され,以降5年間が移行期間ととなり,その間に,公益認定法人,一般法人,その他という選択を迫られる.先ずは,公益認定の申請のため,事業の公益性,法人管理等の検討が必要であり,その後,移行期間の間に,定款変更案を作成して公益認定の申請,一般法人への移行認可申請,他の特例社団法人との合併を選択する.それらが適わない場合は,解散となる.認定の条件は,公益認定基準(公益目的事業(23事業)を主たる目的とし,かつ必要な経理基盤と技術能力等18項目)への適合であり,当面の対応として,現行の「公益法人指導監督基準」に即した組織・財政運営,「新会計基準」への速やかな移行が求められる.次に本会の対応として,基本的にはすでにこの理事会,通常総会における事業計画での承認を受け,公益法人3法の施行において,公益認定法人の認定を受けるべく,組織・事業運営等について環境整備に努めることとし,具体的に,定款変更案の作成等については,監督官庁である農林水産省の指導を受ける一方,逐次理事会にて対応を協議したい.なお,公益認定にかかる環境整備を本会と地方獣医師会双方において検討・協議をするとして,公益認定に際しての基準認定の適合条件にかかる課題と対応について,職域総合部会の常設委員会において,また学会組織と事業運営のあり方について,学術部会の常設委員会において検討・協議を開始した.地方獣医師会との連携については,各地方獣医師会推薦の委員が参加される職域総合部会,学術部会での,意見交換と提出された検討課題に対する対応について検討・協議する.これについては,各地区から推薦された委員から,地元ブロックへ情報伝達を依頼するとともに,別途本会より各地方獣医師会に,委員会の開催の都度必要な情報を通知する.各地方獣医師会においても,検討会を設置し,議論を進められていると思うが,その場での参考とされたい.また10月に本会から地方獣医師会長あて「公益法人認定に当たっての課題と対応」について通知し,課題と対応について照会を依頼しており,いただいた個別の課題を常設委員会の中で議論,検討するとともに,本会と地方獣医師会が逐次整理し,共通の認識を得ることとしたい.なお,狂犬病予防注射事業の対応の考え方については,公益目的事業として位置づけるに当たっての必要条件になり得るであろうとの考えで整理した.これは,理事会,地区獣医師会連合会会長会議,全国会長会議,事務担当者会議で対応を協議し,その結果を受け,「今後における狂犬病予防注射のあり方」として整理した.地方獣医師会により様々な事業運営をされてきた経緯はあるが,自治体からの要請を受け,法律に基づく予防業務を自治体委託の下で獣医師会が推進するという形態を取らねば,そもそも公益目的事業と成り得ないであろうとの現実を踏まえ,この考え方をベースにもう一度事業のあり方を検証していただきたい.さらに今年3月発出された厚労省局長通知及び課長通知については,自治体と獣医師会との連携・協力について明記しており,今後,公益目的事業として位置づける根拠として最大限に活用いただきたい.さらに添付した「公益法人制度改革の概要」で,現状を再度,整理,認識いただくとともに,今後とも,地方獣医師会と協議するとともに,委員会で課題を整理しながら最良の方向を模索したい旨説明された.
 (2)質疑応答として,[1]本問題について,本会が方向性を決めず,地方獣医師会も理解していない状況で公益法人制度改革は臨めないと発言する地方獣医師会長もいる.狂犬病予防事業にしても,独禁法との関係における競争制限,参入規制等の排他的扱い,不公正取引について稚拙な解釈をしている地方獣医師会も多く,地方獣医師会が会員の組織率を向上するため,非会員の獣医師が一緒に事業に加わりたいと申し出たときは,行政から獣医師会に入会されるよう指導いただき,獣医師会とともに行えるような方向を本会が具体的な見解として明確に示すべきである.[2]公益制度改革については,その目標を公益認定法人の認定に定め,全地方獣医師会が一丸となって,認定されるようさらなる推進を望む.また,狂犬病予防事務については,入札制により契約を行う自治体も出てきたが,厚生労働省の通知を盾に対応すべきである.[3]事務が市町村に移管した段階で,市町村では様々なケースで非会員との契約が取り交わされ,法的な問題にも発展する等大変苦慮している地域もある.自治体では担当部署によっては厚生労働省の通知も理解しておらず,一から懇切丁寧に説明するような状況である.[4]自治体との契約は様々な形態があるが,どのような契約が良いのか等の質疑,意見があり,これに対し,大森専務理事から,[1]については,狂犬病予防注射事業の収入と,地方獣医師会の運営費の関係については本会が言及することではないが,この機会に基本的事項を整理して,会員への対応等を検討していただかないと,公益法人組織としての存立を問われかねないことに配慮していかなければならない.このための対案をこれまで理事会でも協議し,ようやくここまで考え方を築き上げたので,必要があれば,本会からブロックへ伺う等して協議をしたいと考えている.[2]については,地方獣医師会は会員であると同時に独立した法人でもある.強制はできないが,本会はじめ,すべての地方獣医師会で公益認定を目指すという方向で対応するものと理解している.地区理事各位におかれても,地区での意識を統一していただき,認定に向けての英知を傾注していただきたい.また,狂犬病予防対策と獣医師会との関係については,長年,獣医師会の会員による事業として実施してきた経緯があり,厚生労働省の通知で予防法第4条に基づく登録,5条に基づく予防注射の業務は,地方獣医師会と自治体が強力な連携のもとに実施する旨通知している状況で,オープン化は,通知の趣旨を損なうと考えるべきではないか.[3]については,細井戸理事から,獣医師会の利益でなく,非会員も含めて,お互いが実効性のある接種率を高めるという観点,本会が公益認定団体として,国民に認知される法人を目指すためには,法的手段により解決するより話合いをもって解決する必要がある.[4]については,大森専務理事から,自治体の考え方によるが,契約として一番望ましいのは4条,5条関係の一括受託することであり,より公益的事業という形での役割を果たしたということになり得るのではないかと思われる.総括して,藏内副会長から,地方自治体の職員も同じ人間であり,日頃から担当課長等と意思の疎通を図ることも必要である.最後に山根会長から,狂犬病予防事業に係る課題は,個々の具体例を協議の上,一致団結して対応する必要がある.大義名分は公益事業であり,会員,非会員を問わず,参加できるものとする.しかし,獣医師会と契約した方がより多くの利点があるということを自治体に認識させれば,自ずと従来のような方向へ進むと思われる.さらに小動物委員会でワーキンググループを立ち上げ,具体的事例を踏まえて,方向性を示すのも一法である旨説明された.

2 獣医師及び動物医療に関する政策課題取り組みの方向の件
 (1)大森専務理事から,「獣医師及び動物医療政策に関する要請の考え方(案)」(本誌109頁参照)が説明された後,山根会長から,獣医学科における入学希望者は高倍率であり,私立大学においては大学運営のためのビジネスチャンスと捉えた動きがあったが,このたび構造改革特別区域制度に基づき,今治市及び愛媛県から「地域に限った大学獣医学部の設置許可」の要望が,構造改革特別区域推進本部に提出されたことを受け,昨日,三役で文部科学省と協議を行った.本会では,現行16大学の教育改善が急務であり,そのためには再編整備と,これを支える国の助成措置が優先課題であると認識して,関係方面に働きかけてき.さらに獣医師需給の政策課題については,絶対数ではなく職域偏在の是正にあると認識し,農林水産省及び文部科学省あてその旨説明をしてきており,これらは本会及び地方獣医師会の共通認識と理解してきたが,地元での認識,これまでの経緯について,地元愛媛県獣医師会岡本理事から説明願いたい.これに対して,岡本理事から,愛媛県獣医師会としては,県の畜産課に対し,今の規制の下で最高のレベルの大学が設置されるのであればやむを得ないが,教官数も減っている現状で新規に設立しても充実した教育ができるか否か懸念される旨を述べた経緯がある.今治市は,獣医系大学誘致が主目的でなく,新都市計画で開発を行ったものの,円滑に進まなかったため,今回,獣医系大学の設立を進めることとした.これらは関係議員の関与も取りざたされている.なお,今治市から誘致のための多額の資金が支出されるとも噂されているが,市民が諸手を挙げて賛成している状況にはない.さらに大森専務理事から,これまでもいくつかの学校法人による獣医学科の設立の計画がなされてきたが,文部科学省は獣医師の需給政策を扱う農林水産省とも協議し,定員抑制策を堅持してきている.先日,文部科学省との意見交換した際,担当課長が地元獣医師会と共通の認識であるのか,懸念を示されたところであり,本日の理事会で再度認識を統一し,文部科学省を支援するとしてきた.これまでの経緯を踏まえ,我々関係者が認識を一つにしてことの重要性を理解いただきたい.さらに酒井理事から,昭和40年代から始まった獣医学教育が現在続いているが,その間,日本獣医師会では評価委員会や地区大会の決議等を含め,一貫して獣医学教育問題に取組まれた経緯から,獣医学教育の改善に向けて支援を推進されるものと受け取っている.平成16年に農林水産省では,地域,職域の偏在はあるが,毎年1,000名の卒業者を輩出しており,獣医師は充足している旨結論付けたが,今回,同省はこの見解を放棄した感がある.しかし,そのために獣医師会,獣医師が将来の道を誤ってはならない.例えば,医師の不足については,現在,非医療従事者が0.9%に対し,獣医師は12%で,5,000人もおり,その人数を不足分野に充当するような政策も考慮できる.これから獣医師を養成するには6年を要するわけで,今大学を設立することなくとも,10年後の業務も既存の獣医師で十分に対応できる.また,薬学においては,教育協議会が機能せず,ビジネスチャンスと捉え,国の補助金を得ず,定員管理を受けない大学が次々と設立され,教育の質の低下を招くような状況を生んでいることを理解いただきたい.昨日,私立5大学の学長及び学部長が文部科学省へ伺い,その旨伝えたが,すべての獣医師会が一丸となって協力していく必要がある旨が各々説明された.
 (2)質疑応答として,今回の見解を獣医師会の統一した認識としたいということだが,国立大学の再編整備については,大学の教員が統一した認識をもって行動しなければ,達成は困難と思われる.今回の大学新設についても,本会から国立大学に対して統一見解を示しておく必要がある旨意見があり,これに対して,山根会長から,まず,再編整備については,獣医師会はもちろんのこと,納税者である国民,さらに政治家の理解,そして当事者である教官の理解を得なければならない.教官の中には危機感を持たないも者もおり,早急に意思統一をする必要がある.この4者の認識なくして,再編整備の推進はありえない.今回,国際舞台でわたりあえるような大学,世界のアクレディテーションシステムに乗るような大学が設立されるのであれば別であるが,教官の人材確保等,教育現場の状況からも,期待するような教育が行えるとは到底思えず,現段階で確りと関係者が意思統一し,対応する必要がある.ついては,岡本理事におかれても,四国地区連合獣医師会で十分議論いただき,地元で意思統一をしていただき,本会及び地方獣医師会が一本化した取組みができるよう共通認識をもっていただきたい.なお,先般,文部科学省では,国公私立大学が共同で同じ目的を有する学部を新設でき,これに調査費を付けるという方向で作業を進めている旨仄聞した.これを追い風として,これ以上,獣医学教育の質を低下させぬよう,社会に役立つ獣医学教育を目指し,確りした獣医師を養成するためにも,第三者機関による外部評価体制を整え,もう一度再編整備を推進できるよう関係者に協力を依頼したい旨説明された.

3 野口英世アフリカ賞募金に対する対応の件
 平成18年7月,小泉前総理大臣の発案により,アフリカでの感症等の疾病対策の推進に貢献があった者に対して賞を授与することを目的として「野口英世アフリカ賞」が閣議決定された.これにより総理直属の機関として同賞委員会が内閣府に設置され,医学研究と医療活動の各部門において,功績のあった者を推薦,選考して賞を授与することとした.さらに本賞募金委員会が設置され,代表世話人を小泉前総理,世話人を日本医師会会長,日本医科大学理事長が務め,さらに委員として,各団体を率いる代表者の方に参画が求められ,この中に本会の山根会長も就任している.本件は1年前に,地方獣医師会に同賞の設立と募金委員会への拠出について,地方獣医師会の協力を依頼していたが,今回,募金委員会の小泉代表世話人から本会に対して,賞の基金造成のために寄付についての支援の依頼があった.ついては,日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会からはかなりの相当額が寄付される予定であることも踏まえ,本会では一般会計から拠出し,併せて地方獣医師会からも寄付金造成に協力をいただいて,合計で200万円以上を目途に造成し,寄付取扱い機関であるJICAへ送金することとしたいので,了承願いたい.続いて山根会長から,55地方獣医師会からの募金を合わせて,目標額に到達するよう支援いただきたい旨依頼された後,了承された.

4 そ  の  他
 藏内副会長から,勤務獣医師の処遇改善は長年の日本獣医師会の課題であるが,都道府県の職員については,知事の権限でこの身分を変更できるとされている.そこで私は福岡県で獣医師職の俸給を医療(2)から(1)に変更としようと試みたが,年間億単位の経費を要すこととなり,知事の判断に委ねられることとなった.これについては,国から,福岡県がそのような支出をするのであれば,他の分野の交付金を停止する旨連絡があり,知事も非常に苦慮した結果,知事が全国知事会の会長という立場にあることから,全国知事会において本件を取り上る意向を示された.しかし,この知事会で採択されるためには,各都道府県の知事の理解が必要不可欠である.ついては,会員の各都道府県の会長,役員の方々から必ず地元の知事に対し本件についての要請をしていただきたい.我々日本獣医師会としては全国的にこの運動を展開するということを,明確に知事会に訴えなければならない.山根会長には,明後日福岡においでいただき,直接,麻生 渡全国知事会長に要請していただく予定であり,理事各位からも,各都道府県,政令指定都市の獣医師会会長へ対応いただくよう伝達されるよう依頼する旨説明された.

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