会報タイトル画像


会議報告

平成19年度第4回理事会の議事概要

I 日 時:
平成19年12月18日(火)13:45〜17:15

II 場 所:
日本獣医師会 会議室

III 出席者:
会  長:山根義久
副会長:藏内勇夫,中川秀樹
専務理事:大森伸男
地区理事:波岸裕光(北海道)
       坂本禮三(東 北)
       高橋三男(関 東)
       手塚泰文(東 京)
       谷 達雄(近 畿)
       唐木茂樹(中 国)
       岡本和夫(四 国)
       麻生 哲(九 州)
職域理事:酒井健夫(学術・教育・研究)
       近藤信雄(開業(産業動物))
       細井戸大成(開業(小動物))
       戸谷孝冶(畜産・家畜衛生)
       森田邦雄(公衆衛生)
監  事:玉井公宏,金田義宏,桑島 功
欠  席:布施康正(中部),横尾 彰(家畜共済)
代理出席:水下健次(新潟県獣医師会専務理事(布施理事代理))

IV 議 事:
【報告事項】
1 業務概況等の件
2 職域別部会の活動状況(9〜11月)の件
3 平成19年度地区学会,地区大会の開催状況及び地区大会採択の決議要望事項の件
4 日本獣医師会学会年次大会開催計画(平成19〜21年度)
  及び平成19年度香川大会への参加登録推進の件
5 日本獣医師会獣医学術奨励賞(学術賞及び功労賞)選考結果の件
6 獣医師職業倫理に係る一連の経過と対応の件
7 獣医療広告特例と適正化指導監視の件
8 2007動物感謝デーin Tokyo開催状況の件
9 新潟県中越沖地震被災動物対策の経過と対応の件
10 ペットフードの安全確保に関する検討の件

【議決事項】
賛助会員入会の件

【協議事項】
1 公益法人制度改革の件
2 獣医師及び動物医療に関する政策課題取り組みの方向の件
3 野口英世アフリカ賞募金に対する対応の件

V 会議概要:
【会長挨拶】
 冒頭,山根会長から,次のとおり挨拶がされた.
 「開会に当たりまして一言ご挨拶させていただきます.年末の非常にあわただしい中,また,ご多忙の中,遠路より第4回理事会に列席いただきましてありがとうございます.
 いつも思うことですが,1年間を振り返ってみまして,今年も激動の年であったと思っています.例年になく経済界も政治も行政も混乱続きでした.特に食の安全・安心に携わる捏造問題,詐称問題が頻発しました.人と動物の共通感染症でありますH5N1の強毒性の高病原性鳥インフルエンザ等に対しましては,関係の先生方には大変な努力をいただき改めて厚く御礼を申し上げる次第です.
 先ほど監事による中間監査を実施していただきましたが,本年度の大きな事業等はほとんど終了しましたが,残すは明年2月に香川で開催される学会年次大会があります.香川県獣医師会をはじめ四国地区連合獣医師会等々,多大なるお世話をいただいておりますことに対し改めて厚く御礼を申し上げますとともに,本理事会に出席されている各理事におかれても,地方へ帰られましたらぜひとも出席を要請いただけたらと思っています.
 現在の会長,副会長の体制になり3年目に入りました.職域担当理事はじめ関係する先生方には大変な努力をいただき,何とか結果が出るような段階になりつつありますが,今後もさらなる努力をお願いする次第です.
 また,他の問題点もたくさんございます.来年20年の12月1日から公益法人制度改革における3法が施行されます.本件に対しましても日本獣医師会がモデルとして皆様の役に立つように進んでいきたいと思っています.何としても55の会員が足並みを揃えて公益社団法人となることを念願しています.
 それから,新聞等で皆様ご承知のことと思いますが,特区を作って獣医科大学を新設しようという話を耳にします.すでに文部科学省も情報をキャッチして対応しておりまして,本件についても獣医師会としての基本姿勢をしっかりととらえて,対処しなければならないと思っています.また,本件につきましては,理事会の中でいろいろな意見をお聞きしたいと思っていますので,よろしくお願いします.本日の理事会が有意義な理事会でありますことを期待いたしまして,挨拶に代えさせていただきます.」

【議長就任・議事録署名人の指名】
 続いて,山根会長が議長に就任し,坂本,近藤両理事を議事録署名人に指名して会議が次のとおり行われた.

【報告事項】
1 業務概況等の件
 前回理事会以降(平成19年8月21日以降平成19年12月10日まで)の業務概況について大森専務理事から報告が行われ,続いて,玉井監事から午前中に行われた中間監査の報告として,本会監査規定第3条の規定に基づき,平成19年度上半期の会の財産及び理事の業務執行状況について監査いたした結果,理事の業務執行については法令,定款に違反することなく適正に推進されており,また,財産の管理及び運用については,会計,諸帳簿,証拠書類等に基づき精査,照合を行った結果,いずれも適正に処理されていることを認める旨報告された.

2 職域別部会の活動状況(9〜11月)の件
 大森専務理事から,各部会における,新たな委員,検討テーマが示された後,9月以降の活動状況について部会長である担当理事から次のとおり報告された.
 まず,近藤理事から,[1]産業動物・家畜共済委員会においては,第6回委員会を開催し,職業倫理の徹底に関して,農林水産省担当官から,本年8月,無診療で動物用医薬品の処方(獣医師法第18条違反)し,無許可で製造,販売(薬事法第12条違反)した獣医師の違反事例が説明され,法令の遵守,獣医師の権利行使における認識の徹底,さらにはこれを機に獣医師法等を見直すべきとの声も出ていることから,信頼回復のため自ら襟を正すよう取組みを依頼された.今期テーマである「産業動物診療獣医師の養成・確保と家畜共済事業運営のあり方」については,農林水産省から,同省での確保対策が説明された後,意見交換をし,次回委員会は来年2,3月に開催することとした.続いて,横尾理事の代理として大森専務理事から,[2]食の安全を担う産業動物臨床検討会においては,第1回委員会を開催し,検討テーマである「食の安全を担う産業動物臨床の取組みの現状と今後の課題」について意見交換し,今後,HACCP導入に際しての獣医師の取組みの他,産業動物の福祉を含めた食の安全推進について協議することとした.次に,[3]細井戸理事から,小動物委員会については,第5回委員会を開催し,検討テーマである「小動物臨床の質の一層の向上に向けた提供体制のあり方(a.一次診療と二次診療(高度専門医療・紹介診療),夜間・休日診療の地域ネットワーク体制の整備,b.卒後臨床研修制度の発展的整備)」について,地方獣医師会を中心とした民間,大学との連携強化等の課題について意見交換した後,農林水産省担当官から,広告の規制緩和等について具体的に説明いただき,次回委員会は,来年1月に開催することとした.[4]動物介在活動推進検討委員会については,第1回委員会を開催し,検討テーマである「動物愛護福祉活動,学校飼育動物活動,動物介在療法(アニマルセラピー等),外来種対策・野生動物救護対策を通じた自然環境保全活動と獣医師及び獣医師会の果たす役割」について意見交換し,前期の学校動物飼育委員会で取りまとめた報告書の内容が説明され,さらに実効ある対応がされるよう学校飼育動物と動物介在の2つワーキンググループを設置して,それぞれ協議することとした.さらに,戸谷理事から,[5]家畜衛生委員会については,第5回委員会を開催し,検討テーマである「家畜防疫対策推進のための地域ネットワーク体制整備のあり方(特に獣医師会と産業動物診療獣医師の果たす役割)」について意見交換した後,農林水産省から,福島県でのブルセラ病及び神奈川県でのヨーネ病の疑似患畜発生についての説明を受けた.その中で家畜伝染病予防法第5条に基づく検査の停止の状況下,防疫対応の連携のあり方は,地方により温度差があるとの認識から,本年末までに各委員から家畜防疫対策の現状と課題について意見を提出いただきくこととし,次回委員会を3月に開催し,さらに連携のあり方を協議することとした.また,森田理事から,[6]公衆衛生委員会については,第5回委員会を開催し,検討テーマである「公衆衛生公務員獣医師の職域の確保と職域」について意見交換を行い,特に地方における獣医師の確保が困難な状況下で,職域における獣医師のあり方,また,食肉衛生検査業務のあり方についても協議することとした.次回委員会は,1月に開催することとし,日本獣医学会公衆衛生学分科会から大学教官に出席いただき,大学での公衆衛生獣医師の養成についても議論することとした.さらに酒井理事から,[7]学術・教育・研究委員会については,第6回委員会を開催し,検討テーマである「獣医学術の振興・普及に果たす獣医師会の役割(公益法人制度改革等を踏まえた学会(地区学会を含む)の組織と運営のあり方)」について意見交換し,特に地区学会の開催,他の学術団体との連携,学会の組織,地区学会と地区大会の連携等について検討することとした.[8]生涯研修事業運営委員会については,第4回委員会を開催し,平成20年度の事業終了後における認定書の交付等,出口論,目標の考え方,また,現行の事業申告のシステムのあり方を中心に検討を進めることとしている.最後に大森専務理事から,[9]総務・広報委員会においては,第3回委員会を開催し,検討テーマである「新たな公益法人制度への対応」について意見交換を行い,地方獣医師会と連携して各課題を整理し,各獣医師会で今後の新しい方向を検討していただくこととした.[10]動物愛護福祉対策検討委員会については,各職域にかかるという観点から今期より職域総合部会の個別委員会とし,第1回委員会を開催し,検討テーマである「動物愛護管理法の次期改正に向けて(改正法の施行状況と今後の対応)」について,環境省から,前回法改正以降の環境省の対応が説明された後,同法の5年後との見直しを踏まえ,地方交付税,多頭飼育,個体識別,虐待,自治体の事務,動物取扱業,危険動物について協議し,続いて全国ペット小売業協会と情報交換を行い,次回以降,法改正に際しての具体的な課題について整理することとした.[11]野生動物対策委員会については,今期から上記と同様,職域総合部会の個別委員会として,第1回委員会を開催し,検討テーマである「野生動物対策の整備・充実に向けて(野生動物対策に当たる獣医師専門職の配置の推進,地域における野生動物対策の活動事)」について,環境省から鳥獣保護管理計画,鳥獣被害等について説明され,羽山委員長から農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー制度等の内容が解説された後,意見交換が行われ,各都道府県等における医師専門職の配置,専門職の育成,それに伴う制度的対応について検討することとした旨それぞれ報告された.

3 平成19年度地区学会,地区大会の開催状況及び地区大会採択の決議要望事項の件
 大森専務理事から,本年度の地区大会,地区学会の開催状況が報告され,各地区において決議された要望事項については,内容を整理し,地区獣医師会連合会会長会議で対応の方向等について協議した上で,理事会,全国会長会議に報告する旨説明された.

4 日本獣医師会学会年次大会開催計画(平成19〜21年度)及び平成19年度香川大会への参加登録推進の件
 大森専務理事から,平成20年度の学会年次大会については,岩手県獣医師会共催(岩手県獣医師会に運営委託・東北獣医師会連合会協力開催形式)により平成21年1月22日〜24日,アイーナ,盛岡市民文化ホールにて,21年度は宮崎県獣医師会共催(宮崎県獣医師会委託・九州地区獣医師会連合会協力開催形式)により平成22年1月29日〜31日,ワールドコンベンションセンターサミットにての開催が予定されている.なお,本年度の香川での学会年次大会では,開会式,各賞の授与式,懇親パーティーは,円滑な進行のため,一連の流れの中で実施することとしたので留意いただきたい.理事各位におかれても,関係者への参加登録の広報を依頼したい旨が説明された.

5 日本獣医師会獣医学術奨励賞(学術賞及び功労賞)選考結果の件
 酒井理事から,11月14日,本選考委員会において,産業動物,小動物,公衆衛生の各分野ごとに本年度の学術賞及び功労賞の選考が行われ,各賞が決定した旨報告された.

6 獣医師職業倫理に係る一連の経過と対応の件
 (1)大森専務理事から,この10年間で獣医師法に基づく行政処分が増加している中,特に近年,獣医師道に対する重大な背反行為による処分例まで出現している.このような状況が続くということになれば,今後,獣医師免許のあり方を問われかねない事態も懸念される.本年8月,獣医師法18条及び薬事法12条に違反する獣医師が摘発されたこと等を受け,獣医師倫理及び法令遵守徹底のため,10月5日付けで地方獣医師会長あて「薬事法等の法令遵守による畜産物の安全性の確保等」について通知し(本誌第60巻第11号776頁参照),法令遵守をはじめ獣医師職業倫理の徹底した指導を,さらに会員獣医師に限らず獣医師または関係者が獣医事関係法令に違反する事例の情報に獣医師会が接した場合は「指導強化通知」に基づき獣医師会の活動区域を管轄する獣医事監視取り締まり当局に対して通報の上,当局による是正指導,告発等のしかるべき対応を求める旨再度周知徹底を依頼した.一方,獣医師の医薬品の適用外使用については,承認されている動物用医薬品では治療の効果が期待できず,診療上やむを得ない場合に認められているが,農林水産省では,今回,特に食用に供される動物への未承認薬品の使用は,食品安全基本法第8条の食品関連事業者の責務として厳に慎まねばならない旨指導がなされた.産業動物における未承認医薬品の適用,それ自体が直接違法性を問われるものとは考えないが,一方で食品衛生法上の規制もある.食の安全確保を率先してリードする立場にある獣医師としての資質が一層問われることとなる旨が報告された.
 (2)質疑応答として,[1]動物用医薬品の残留については,4枚指示書の施行後も自治体により対応に温度差があり,他県の獣医師が指示書を出した農場から問題が発覚した際,行政,獣医師の地元獣医師会へ連絡しても情報が得られないような状況である.今後,このようなことを防止するために現状が把握できるような情報共有体制が必要と考える.[2]過去に獣医師が肥育鶏に処方した動物用医薬品の残分を農家が採卵鶏に投与したため,出荷した採卵に薬品が残留したケースもあり,獣医師が農家へ十分な説明をする必要はあったが,薬品の1包みの梱包量が実際の使用量より多量であるような現状もあり,これについても改善が必要である旨の意見があり,[1]については,大森専務理事から,獣医師会等民間団体が他県の対応状況に関する情報を個別具体的に得ることは個人情報保護法の関係もあり,行政による情報開示には限界があるのではないか.続いて戸谷理事から,行政の情報入手については,例えばある農場の牛がヨーネ病で殺処分された際,処分過程の情報等,事実を確認して告発した段階においては,非開示情報として,その内容,当該農場等が特定できるような情報は自治体では公表できない.自治体で事実を確認し,告発しても,それを判断するのは司法であり,その判断を得て初めて事実として認定され,情報が公表される旨説明された.

7 獣医療広告特例と適正化指導監視の件
 (1)大森専務理事から,農林水産省からパブリックコメントが示され,基本的に獣医師,または診療施設の業務に関しての広告は,専門科名及び学位・称号を除き,技能,療法,経歴一切禁止で,省令で定める広告制限の例外として,家畜体内受精卵の採取の実施,家畜防疫員,衛指協及び家畜共済の嘱託獣医師または指定獣医師である旨についてのみ認められていた(獣医療法施行規則第24条)が,近年の家庭動物の普及による診療の機会の増加に伴い,飼育者からの広告制限緩和の要請,人の医療分野での大幅な広告制限の緩和を受け,農林水産省の「小動物医療に関する検討会」で検討され,さらに獣医事審議会での答申を受け,獣医療法施行規則の改正が行われることとなった.改正の概要については,新たに同条に[1]獣医師名簿への登録年月日による免許の所有,及び開設の年月日による診療施設の開設,[2]特定の医療機器の所有,[3]動物の愛護及び管理に関する法律に基づく避妊手術の実施,[4]狂犬病等の疾病予防注射の実施,[5]犬糸状虫症の予防措置の実施,[6]飼育動物の健康診断,[7]獣医療に関する技術の向上及び獣医事に関する学術研究に寄与することを目的として設立された民法第34条の法人の会員であること(社団法人○○県獣医師会会員),[8]農林水産大臣の指定する診療施設であることについては,今後,広告しても差し支えないとするが,同条第2項として[2]〜[6]を広告する場合は,他の獣医師または診療施設と比較して優良である旨の広告,提供される獣医療の内容に関しての誇大広告及び提供される獣医療に関する費用の併記を制限する.また,広告違反の指導については,今後,各都道府県において,任意の調査,立入検査の実施等により違反者へ是正指導し,併せて国へ報告,悪質な場合は事例を公表し消費者へ注意喚起を促す.さらに広告違反の措置として,指導に応じない場合は氏名等を公表,また直罰を適用する.「技能」・「療法」・「経歴」を広告した場合は刑事告発,直罰の適用が困難な「料金の併記」・「比較広告及び誇大広告」の違反広告をした場合は,獣医師法第5条の「獣医事に関する不正行為があった者」に該当するものとし,国による行政処分が行われるとともに,他法令(不当景品類及び不当表示防止法)により重畳的な規制を受けることとしたいとしている.なお,改正内容については,施行前に広告規制,公表,行政指導,行政処分に関するそれぞれの指針(ガイドライン)を示すとともに,十分な周知期間を設けることとされ,施行後の都道府県のチェック機能については,一段と強化されるとともに,都道府県と地方獣医師会が相互に相談・助言を行う等,獣医師会の役割が明示される内容にしたいとの説明を農林水産省から聞いている.なお,上記[7]については本会から農林水産省への要請が認められたものであるが,さらに獣医療法施行規則の一部を改正する省令等についての意見として「今回の省令改正は,特例の追加に伴い懸念される過剰な診療誘引行為の増長防止のための制限規定の整備を伴うものであること.さらに,今後,広告適正化のためガイドラインの策定をはじめ監視指導体制の整備が行われ,これが実効あるものとして機能することを前提に,妥当なものと考える.ただし,第24条第2項で新たに定める特例措置に対する制限規程(比較優位,誇大及び費用併記の広告の禁止)は,診療業務に関し特例措置とされた技能または療法に係る行為を対象とするため,これまで同条第1項に規定された「体内受精卵の採取の実施」についても,追加して規定する必要がある.なお,ガイドラインの策定及び通知に当たっては,事前に本会と協議されるよう依頼する」旨の通知を同省あて提出した旨が説明された.
 (2)質疑応答として,今回の特例については,一部の獣医師の間で勧誘診療や誇大広告が懸念されているため,本会で倫理の遵守等を依頼するとともに,違反広告等の具体的な事例を示し,分かりやすく取りまとめ配布する等して周知することも一法と考える.また,小動物臨床獣医師の中にも,本人が悪気なく違反している者と,意図的に行う者がおり,地方獣医師会は,このような情報を得た際は,恙無く職域総合部会へ報告し,詳細については各部会で検討するようなシステムを構築すると良いと思われる旨の意見があり,これに対して,山根会長から,広告については,法令,倫理遵守の徹底を周知する必要があり,農林水産省にも講習会等による十分な周知とともに,罰則の履行を依頼しており,違反事例等の情報は本会へも報告いただきたい旨説明された.

8 2007動物感謝デーin Tokyo開催状況の件
 中川副会長から,本イベントは,世界獣医学協会が広く獣医師の職域,役割を市民に周知することを目的に開催を提唱してきたものであり,本年度から,本会の事業として,10月7日,新宿都庁前都民広場にて実施した.実施にあたっては,関係省庁,多数の関係団体,企業から後援,協賛,協力をいただき,全国15獣医学系大学にも参画いただいた.決算額は,約2,000万円であり,協賛いただいた企業等に対し改めて感謝申しあげる.企画では特にNHK・BS放送の番組「ペット相談」の公開放送に有名なタレントが出演したためか,多数の来場者が集まり,全体の参加者数は約5,000人程度であったと見込んでいる(イベント運営委託会社発表1万人以上).さらに今回のイベントの反省点,問題点を検討し,来年の開催に向け取組むこととして,近日中に運営委員会の開催を予定している旨説明された.

9 新潟県中越沖地震被災動物対策の経過と対応の件
 大森専務理事から,新潟県中越沖地震発生後,被災動物を救護するため,いち早く新潟県が中心となり(社) 動物愛護協会及び新潟県獣医師会,さらに本会も構成団体の一員である緊急災害時動物救援本部の4者で新潟県中越沖地震被災動物救援本部を設置し,活動を実施してきた.11月30日付けの活動状況として,動物飼育に関する相談が全体で353件(犬/203件,猫/139件,その他/11件),被災動物の一時預かりが,県内5箇所の動物保護管理センターで合計9頭(犬/8頭,猫/1頭),また本部活動資金の募金活動は,10月31日付けで終了し,総計約1,300万円となった.募金の使途については,ボランティアの保険料,被災者通信切手代,シェルター(借上料,高熱水費等),支援物質・医薬品・飼養物品等,被災動物治療・検査であり,約200万円支出した,続いて新潟県獣医師会水上専務理事から,先の中越沖地震では地方獣医師会及び構成獣医師から多大な支援をいただき厚くお礼申し上げる.活動状況については,一時預かりは一時期100頭近くから9頭へと減った.仮設住宅への支援については,ワクチン希望者へ接種,健康診断の他,物的支援として餌,ケージ等の貸出し等を実施した.募金は,総額の半分以上が獣医師会関係からのものであり,ここに改めて感謝申し上げたい旨各々説明された.

10 ペットフードの安全確保に関する検討の件
 細井戸理事から,「ペットフードの安全確保に関する研究会」の委員として,これまで5回の研究会へ出席した.初回は,ペットフードの安全確保を巡る情報交換,2回目は委員が国内のペットフード工場にて,実際のフードの製造過程等の現地視察と業界関係者から安全確保の取組みのヒアリングの実施,3回目は,外資系ペットフード社からペットフードの海外の工場での製造,輸入,流通,表示等の実態についてヒアリングを実施,4回目は,ペットの飼育者,非飼育者の約3,000名にアンケート調査を行い,その結果を踏まえた意見交換,5回目で中間とりまとめを行った.概要は,基本的な考え方として,動物愛護の観点から緊急に取組むべき課題であり,製造,輸入,販売の各段階で必要かつ適切な措置を要する.それには事業者及び民間団体による自主的取組みが重要で,行政も情報の収集等により自主的取組みを推進することとし,さらに取組みは強制力がないため,予期せぬ事故への対策等も考慮して法規制の導入が必要であるとした.また法規制の対象は犬用及び猫用とし,製品の製造,輸入,販売を業とする者への規制が必要とした.さらに今後は,食品衛生法,飼料安全法の規定を参考にペットフードの規制を行う旨が説明された.


次へ