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行政・獣医事

狂犬病対策の充実・強化について

 本会では,最近における狂犬病予防対策の推進状況を踏まえ,登録率及び予防注射実施率の向上等の狂犬病予防法に基づく予防対策の実行確保を図る必要があるとの観点に立ち,これまで本会から狂犬病予防法を所管する厚生労働省に対し地方自治体と獣医師会の連携強化による地域ネットワーク体制の一層の整備促進を要請してきた.
 今般,本会の要請を受け,厚生労働省健康局長から都道府県知事あて,狂犬病予防法に基づく犬の登録,予防注射等の推進について,また,同局結核感染症課長から自治体衛生主管部長及び本会会長あてに,狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令の施行等について通知した旨,あわせて本会に対し,協力依頼があり,地方獣医師会長あて次のとおり通知した.

 

 18日獣発第244号
平成19年3月2日
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
(公印及び契印の押印は省略)
狂犬病対策の充実・強化について
 本件については,最近における狂犬病予防対策の推進状況を踏まえ,狂犬病予防法に基づく予防対策の実行確保を図る必要があるとの観点に立ち,これまで本会から狂犬病予防法を所管する厚生労働省に対し地方自治体と獣医師会の連携強化による地域ネットワーク体制の一層の整備促進を要請してきたところであります.
 今般,厚生労働省健康局長から,飼育犬の登録と予防注射の徹底を図るためには,都道府県と市町村並びに獣医師会とが連携・協力し,実施する必要がある旨が別紙1により都道府県知事(政令市市長,区長)あてに,また,併せて,厚生労働省健康局結核感染症課長から別紙1通知を受けた細部事項等が技術的助言として別紙2により地方自治体衛生主管部(局)長あてにそれぞれ発出されるとともに,本会に対し協力の要請がなされたところであります.
 このことに伴い,地方自治体が法に基づき実施する狂犬病予防対策,とりわけ法第4条の規定に基づく飼育犬の登録業務と法第5条に基づく定期予防注射業務に関しての獣医師会の果たすべき役割について明確化が図れたところであります.
 つきましては,貴会におかれては,自治体当局からの貴会に対する支援・協力要請に積極的に応じるとともに,貴会が実施する狂犬病予防注射事業等の適切な運営を通じ狂犬病予防対策の自治体との連携強化による地域ネットワーク体制の整備について一層尽力されますようお願いします.
 一方,別紙2の通知の前段において通知された狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令の施行に関し,先に本件に係るパブリックコメントのうち鑑札及び注射済票様式の自治体による自由設定の件については本会として基本的に反対の意を表明したところでありますが,今回施行された省令改正の内容は,本会の意見について一定の理解が示されたものと捉えたところであります.
 なお,鑑札及び注射済票を含め動物の個体識別の手段をマイクロチップ方式へ移行することについては,今後とも動物行政一元化の観点から引き続き所要の要請・提言を行うこととしているところです.鑑札及び注射済票様式の変更等に係るパブリックコメントに対する貴会の対応について感謝申し上げる次第です.

 

【別紙1】
健発第0302001号
平成19年3月2日
社団法人 日本獣医師会会長 殿
厚生労働省健康局長
狂犬病予防法に基づく犬の登録,予防注射等の推進について

 貴会におかれましては,日頃から狂犬病予防対策への格段の御理解と御尽力を賜り,厚く御礼申し上げます.
 我が国では,狂犬病予防法(昭和25年法律第247号.以下「法」という.)に基づき,通常時の措置として犬の所有者に対し飼い犬の登録及び予防注射等が義務づけられており,昭和33年以降,狂犬病の発生の報告はないところです(人の輸入感染症例を除く.).
 一方で,世界保健機関によると,世界では年間約5万5千人が本病により死亡していると推計されており,そのうち半数以上はアジア地域での発生とされています.我が国においても,密輸や不法上陸などにより,狂犬病に感染した動物が国内に侵入する可能性が残されており,引き続き,法に基づく登録を徹底し,その数を確実に把握するとともに,狂犬病予防注射の接種により十分な免疫を付与することは極めて重要です.
 このような状況を踏まえ,今般,各都道府県知事,政令市市長及び特別区区長あてに別紙のとおり通知しましたので,貴会におかれましても犬の登録等の推進について連携方御協力いただくとともに,貴会会員への周知等について,特段の御配慮をお願いいたします.



健発第0302001号
平成19年3月2日
   都道府県知事
各 政令市市長  殿
   特別区区長
厚生労働省健康局長
狂犬病予防法に基づく犬の登録,予防注射等の推進について
 我が国では,昭和25年に制定された狂犬病予防法(昭和25年法律第247号.以下「法」という.)に基づき,飼い犬の登録,飼い犬の予防注射及び放浪犬の抑留,さらには犬等の輸入検疫の実施を的確かつ着実に実施したことにより,狂犬病は撲滅され,昭和33年以降,狂犬病の発生の報告はないところである(人の輸入感染症例を除く.).
 一方で,世界保健機関によると,世界では年間約5万5千人が本病により死亡していると推計されており,そのうち半数以上はアジア地域での発生とされている.我が国においても,昨年11月に36年ぶりに人の輸入感染症例が発生し,狂犬病は発症すれば,ほぼ100%死亡する疾病であることが再認識されたところである.
 また,平成17年の犬等の輸出入検疫規則の改正により検疫が強化されたところではあるが,密輸や不法上陸などにより,狂犬病に感染した動物が国内に侵入する可能性も残されている.
 このような状況を踏まえると,万が一の感染動物の侵入に備えるためにも,狂犬病のまん延源となる犬については,法に基づく登録を徹底させ,その数を確実に把握するとともに,狂犬病予防注射の確実な接種による免疫の付与を求めることは極めて重要である.
 今般,狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第17号)が平成19年3月2日に公布され,同年4月1日付で施行されることも踏まえ,この機をとらえて,貴自治体におかれても,近接自治体間あるいは都道府県と市区町村間で連携の上,放浪犬の抑留等の対応を適切に実施するとともに,飼い犬の登録及び予防注射の接種についても,引き続き,関係自治体及び獣医師会と十分連携・協力し,着実な実施を図るようお願いする.また,他の関係団体等の協力も得ながら,犬の所有者に対して幅広く普及・啓発の広報を行うなど,狂犬病予防対策の一層の推進に努められたい.
 なお,都道府県におかれては管下の市町村に周知されたい.

 

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