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【議  事】
1 公益法人制度改革の件
(1)制度改革のスケジュールと当面の対応
ア 大森専務理事から,本件について,大要次のとおり説明がなされた.《本誌第60巻第2号97頁(平成18年度第3回理事会の議事概要)と同様》
イ これに対して,[1]「社団法人」から「特例社団法人」へ移行する際の手続きについて,[2]社会的に認知されるためにも「公益認定法人」という名称は必要であるが,一方で公益認定法人に認可されると,獣医師会の資産の譲渡が執行される等,会務の運営に多大な影響があるため,移行の是非は十分検討する必要がある,[3]多くの地方獣医師会では,勤務獣医師と開業獣医師等,異なった会費制度を有するが,これは公益認定法人認定基準に示された同一会費による同一権利という考え方に抵触するのではないか,[4]公益法人指導監督基準では同業種の理事が半数を占めてはならないとされたが,公益認定基準には「相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者の理事の合計が全体の1/3を超えないもの」とあり,このように理事の基準はさらに制限されるのか等の質疑・要望があり,大森専務理事から,[1]については,事務手続き等はなく,自動的に変更されるが,名称は従来の「社団法人」でよい,[2]及び[3]については,公益事業を行うための特定目的を使途とした基金との考え方であるが,地方獣医師会においても,事業資金である基金が実績に見合わないほど多額である場合等,寄付せざるを得ないことも想定され,また,公益法人認定法の基準に「社員の議決権に関して,社員が当該団体に提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること」とあり,日本獣医師会も構成員数に応じた会費の額及び議決権数を定めていることから,これらについては今後慎重に対応する必要がある,[4]については,地方獣医師会等,地方団体の認定は,都道府県の公益認定委員会に委ねられ,日本獣医師会のように全国団体は,一元的に内閣府の委員会が認定の採否を行う.今後,解釈については,府省令,通達により具体的な事例がされるものと思われる旨回答された後,山根会長から,現状では不透明な部分が多いが,逐次最新の情報を地方獣医師会へ提供しながらすべての地方獣医師会が公益認定法人となる方向で取り組みたい旨回答された.

(2)制度改革の事情等を踏まえ
ア 今後における学会の組織運営及び学術活動の推進のあり方
(ア)大森専務理事から,本件について,大要次のとおり説明がなされた.その中で,徳島県獣医師会 井出常務理事から香川県高松市で開催される平成19年度学会年次大会について協力が依頼され,続いて,北海道獣医師会 金川会長から,平成19年度の北海道地区学会は,日本獣医学会の学術集会と期日を合わせて開催することとし,共同企画も計画中である旨補足説明された.《本誌第60巻第2号97頁(平成18年度第3回理事会の議事概要)と同様》
(イ)これに対して,[1]学会の位置づけをどのように改めるのか,[2]地区学会については大会も含めて,開催意義,参加登録のあり方,費用負担等について議論すべきである,[3]年次大会のあり方について,全国獣医師大会と合同開催,9地区で順に開催,企画は獣医学に限らず,参加者の興味をもつ内容も考慮する等の意見がある,[4]関東地区連合獣医師会に東京都獣医師会が参加する方向を検討している旨の質疑・要望等があり,[1]については,これまで学術会議の登録団体の認可を得るため,形式上,学会が独立した組織であるよう,事業計画・報告,予算・決算書類を個別に作成する等,二重構造を有していたが,公益認定法人の移行に際しては,定款に沿った組織に整備し,運用形態を改める必要があり,地区学会も含めて検討いただきたい,[2]及び[3]については,山根会長から,地区においては,持ち回り開催することにより様々な特色をもった学会が開催されているが,今後,学会年次大会を含め,さらに充実した学会となるよう検討いただきたい旨回答された.
イ 今後における狂犬病予防注射事業のあり方
(ア)大森専務理事から,本件について,大要次のとおり説明がなされた後,北海道獣医師会 金川会長から,同獣医師会では,犬の登録及び狂犬病予防注射の広報対策として,一般広報用チラシを相当数作成し,小動物診療施設等で配布するとともに,北海道新聞へ大々的に記事を掲載した旨が補足説明された.《本誌第60巻第2号97頁(平成18年度第3回理事会の議事概要)と同様》
(イ)これに対して,[1]課税対応の考え方は,狂犬病予防事業を獣医師会自ら収益事業と認めるのではなく,公益事業であり,当然一般会計に計上できるという理念をもって税務当局に対応すべきである,[2]地方獣医師会では,様々な方法で税務処理を行っている一方,税務署も管轄する署により異なった見解を示している現状で,日本獣医師会から税務対応について一定の見解を示す必要はない,[3]狂犬病の発生を想定したシミュレーションを行った際,医療従事者,獣医師を含め,人用ワクチンの不足が示された.少なくとも狂犬病予防事業従事者は事前に予防注射を接種しておくべきであり,ワクチンの備蓄を含めて,検討願いたい旨の意見・要望があり,これに対し,大森専務理事から,[1]及び[2]については,狂犬病予防事業の形態について公益事業としての位置づけを確保するが,税法上,課税の対象と見なされるのが一般的な見解である.税務処理の考え方については,これまでの地方獣医師会における課税対策の是非を問うのではなく,来るべき公益認定法人への移行が円滑に行われるよう,事前に各獣医師会内部で事業を再点検していただくための資料として示したものである.次に山根会長から,[3]については,ワクチン製造メーカーにも要請し対応したい.続いて,藏内副会長から,狂犬病の充実整備の要望等については,地方議会から直接担当大臣あてに意見書を提出できるので,地方獣医師会におかれても自治体に働きかけていただきたい旨各々説明された.

2 平成18年度地区獣医師会連合会獣医師大会等の件
(1)大会・学会の開催状況
 大森専務理事から,各地区獣医師大会・地区学会の開催状況が報告され,開催に際に各地区で多大な尽力をいただいた旨お礼が述べられた.

(2)地区獣医師大会決議・要望事項等に対する対応
ア 大森専務理事から,7地区において提出された決議要望事項については,項目ごとに整理し,対応の考え方を別紙とおり取りまとめた旨報告された.
イ これに対して,[1]北海道獣医師会では,昨年,日本とオーストラリア両政府は貿易,投資等の自由化推進のための経済連携協定(EPA)交渉の開始を合意したが,米,小麦,牛肉,乳製品,砂糖等の基幹品目については関税撤廃の対象から除外するよう,道庁,道議会,農業団体等へ要請活動を行った.本件は,日本獣医師会及び地方獣医師会にも賛同・支援いただくとともに,日本獣医師政治連盟による対応をお願いしたい,[2]近年,獣医師は社会から高く評価されている.しかしながら,農林水産省をはじめ,都道府県の農政,家畜衛生担当課長等のポストに獣医師以外の者が配置されるといった状況もみられ,今後,動物衛生等の専門家である獣医師が適正に配置されなければ,行政施策の推進への影響が危惧される,[3]地区連合獣医師会会長会議の運営について,具体的な推進策を明示し,地区の会長と十分協議し,意見集約が図られるような進行について要望等があり,山根会長から,EPA交渉に基づく関税撤廃については中央畜産会においても,同会の理事である藏内副会長,熊本県獣医師会穴見会長とともに同会を通じ要請したい旨回答された.

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