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日獣政連からのお知らせ

狂犬病対策の充実・整備に関する国会質疑

 本件については,既報(本誌第59巻第11号718頁〜720頁)のとおり,本会から厚生労働省健康局長あてに要請するとともに,本誌798頁〜800頁掲載のとおり,獣医師問題議員連盟(会長:谷津義男・衆議院議員)幹部議員及び政権与党公明党幹部議員との懇談会を開催し,要請及び対応の協議を行ったところであるが,今回,11月1日開催の衆議院厚生労働委員会において,公明党政調会長代理の福島豊・衆議院議員(大阪6区)が質問に立ち,別紙のとおり質疑が行われた.


【別 紙】
衆議院厚生労働委員会速記録
平成18年11月1日
福島委員:
 最後に,狂犬病対策についてお尋ねをしたいと思います.
 現在でも世界各国で発生をしております.年間3万人から5万人が死亡している.やはり重要な感染症であることは間違いがありません.我が国での最終発生は1957年,その後,1970年にネパール旅行からの帰国者が狂犬病で死亡しておりますけれども,国内での発生は1957年が最後であるとされております.しかしながら,近隣諸国を見渡したときどうか.東アジア近隣諸国,とりわけ中国においては,この狂犬病の発生というものが非常に近年高まっている,悲惨な状況がある,こういったことがあるわけであります.
 そしてまた,近隣諸国から日本に対して進入をするおそれはあるのかどうか.こういう点について言えば,外国船籍の搭載犬がややもすると不法上陸をする,その際に咬傷事件が起こったりする.これは,近隣諸国で発生した狂犬病が我が国に持ち込まれる可能性があるということを示唆するものであるというふうに思います.
しかしながら,国内的には,最終発生からもう50年が過ぎたということもありまして,狂犬病予防法における犬の登録,また定期予防注射,これが犬の所有者の義務となっていますけれども,その履行については実にお寒い状況でございます.国内飼育犬の登録率は5割水準である,また定期予防注射の実施率は4割を切っている,こうした状況.そして一方では,家庭動物として犬の飼育率というものは増加しているわけでありますから,こうしたきちっとした狂犬病予防法によって対応がなされていない犬がふえているということも事実でございます.
 こうした状況を見渡したときに,狂犬病というものに対して,改めて襟を正してといいますか,政府としても対応する必要があるのではないかというふうに思っております.
 獣医学会,獣医師会関係の方々からは次のような御指摘があります.
 一つは,狂犬病予防のかなめとなる飼育犬の登録及び予防注射の実施率の向上を図らなければいけない.そのためにどうするか.狂犬病予防対策にかかわる自治体事務が当該地区を活動の地域とする地方獣医師会とも連携をする,こういうことが大事である.そして,組織的に円滑に推進をしていくために,地域のネットワーク体制,こういうものを構築すべきではないかと指摘をしております.そうした地域ネットワーク体制の構築によって,狂犬病予防法に基づいて狂犬病対策が広く国民的に理解される,そういう施策を進めるべきである.また,犬の所有者の責務として狂犬病対策というものがある,これについても国民的なレベルで普及啓発を図るべきである,こういう指摘があります.
 また,登録事務についても,現行の鑑札,こういうものがあるわけでありますけれども,なかなか大きくて,小さな愛玩犬に対してはそんな大きなものをつけるのかね,こういう観点もあるわけであります.
 近年,動物愛護法の改正のときに,マイクロチップについて,この活用をどうするかということがいろいろと議論されました.動物の個体識別,そして国際標準化されているマイクロチップによる個体番号の登録管理,こういったものに変更していってはどうか,そして,犬の登録を初めとする動物愛護管理施策等の動物行政を効率的また一体的に推進していくべきではないか,こういう御指摘があるわけであります.
 先ほども申しましたように,国際的な状況また国内の状況を考えたときに大いに耳を傾けるべきである,このように思うわけでありますけれども,最後に政府の御見解をお聞きしたいと思います.

外口政府参考人:
 狂犬病は,昭和33年以降国内での発生はないものの,近隣諸国では流行が絶えておらず,また,狂犬病は,一たび羅患しこれが発症しますと,ほぼ100%死亡する病気であります.
 犬の登録及び予防注射等の狂犬病予防対策を行うためには,抑留等の業務を行う各都道府県等と鑑札等の交付事務を行う市町村及び狂犬病予防注射を行う獣医師会等,関係団体が十分な連携をとり効率的に行うことが重要でありますことから,これまで都道府県等を通じて連携してこれを実施するよう指導してきたところであります.しかしながら,この実施が不十分との指摘もありましたことから,現在,地方自治体と獣医師会等の関係団体の連携状況等の実態を把握するためのアンケート調査を行っているところであり,この結果等も踏まえ,再度の周知徹底等について検討する予定であります.
 なお,狂犬病予防法に基づく犬の鑑札及び注射済み票のかわりにマイクロチップを利用する場合には,これは,その犬がマイクロチップの場合では注射済みか否かが外見から判断できないという課題があります.もちろん,マイクロチップには動物愛護の観点から意義が十分ございますし,これはこれで大変重要なことだと思いますけれども,狂犬病発生時等の危機管理上の問題ということもございますので,狂犬病予防法対策としてのマイクロチップの導入には,これは課題があって難しいのではないかと考えております.

福島委員:
 何よりも,しっかりと獣医師会等の意見も踏まえながら頑張っていただきたいと思います.
 以上で終わります.ありがとうございました.