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特別寄稿

日本獣医師会顧問として新たな社会貢献を

北村直人 (日本獣医師会顧問)

北村直人先生写真 全国の獣医師会会員の皆さんには,獣医師として各分野,地域でご活躍されておられることに心から敬意を表します.
大変ご無沙汰いたしております北村直人です.早いもので政治家として国政に参加,衆議院議員として6期,足掛け20年,秘書活動を入れますと25年間,日本国の中枢,永田町・霞ヶ関に身を置くことが出来ましたのも,ふるさと北海道選挙区の方々並びに獣医師諸先生の多大なるご指導ご支援ご協力のたまものであります.特に,私の獣医師としての所属団体である北海道獣医師会の歴代会長・理事・支部長の諸先生,日本獣医師会杉山元会長・五十嵐前会長・山根会長・歴代副会長はじめ全国地方獣医師会各会長の諸先生の力強いご指導に対し,衷心より厚く感謝と御礼を申し上げます.私は,常に,政治の基本に,現場に目を向け現場を忘れず自然科学(獣医学)を学んだ獣医師として,日本獣医師会中村元会長の「科学者としての獣医師は,その立場,立場で決して嘘はつかない」の教えを守りながら,国政で政治活動できたことを誇りとしてきました.今後は,その経験と知恵と人脈を活かし日本獣医師会を通して国家国民・社会に寄与していく決意であります.会員各位のご指導ご鞭撻宜しくお願い申し上げます.

 

1. さて,我々獣医師は獣医師法により,その目的と立場を与えられ,義務と責任を課せられています.しかし,獣医師法以外の多くの法律・政令省令によっても,同じく義務と責任が課せられています.
 いくつか挙げて見ましょう,獣医師法,獣医療法,薬事法,狂犬病予防法,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律,身体障害者補助犬法,牛海綿状脳症対策特別措置法,食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律,と畜場法,家畜伝染病予防法,家畜保健衛生所法,家畜改良増殖法,食品衛生法,薬剤師法,臨床検査技師等に関する法律施行令,家畜取引法,麻薬及び向精神薬取締法,覚せい剤取締法,沖縄の復帰に伴う農林水産省関係法令の適用の特別措置等に関する政令,奄美群島の復帰に伴う農林水産省関係法令の適用の暫定措置等に関する政令,地域保健法施行令,獣医事審議会令,郵便法,民間事業者による信書の送達に関する法律,公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令,武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律,構造改革特別区域法.農林水産省設置法,農林水産省組織令,飼料安全法,農薬取締法,JAS法,景品表示法,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律,特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律,動物の愛護及び管理に関する法律等々獣医師を取り巻く法律の重要性を改めて再認識させられ,獣医師が社会に対して大きな義務と責任を負っていると痛感いたします.(上記の法律・政省令以外にも,まだあります.いずれの機会に報告出来ればと思います.)
 法律が制定される,あるいは改正されるには調査・検討を積み重ね,多くの関係者の協力と時間が必要とされます.その上で法律案又は改正案(以下「法案」とします)が出来上がります.法案は国会に提出され,衆議院・参議院で審議(法案が修正されることもあります),賛成多数で可決成立・公布・施行となります.国会に提出される法案には,内閣法案と議員立法案があり国会で審議されるほとんどは,内閣法案です.

 

2. では,議員立法にはどの様な法律があるか,その改正はどの様な経緯をたどるのか,今回は,動物愛護及び管理に関する法律を実例をにして報告します.

(1)議員立法により,昭和48年9月「動物の保護及び管理に関する法律」が制定されましたが,平成11年12月,自由民主党の主導のもとに関係各党の合意を得て,議員立法により同法を改正(名称を「動物の愛護及び管理に関する法律」に改正,動物を命あるものとして位置づけ,動物取扱業の届出規制や迷惑防止の勧告措置等を導入した画期的な改正)しました.
 その後,平成13年1月 省庁再編により法律の所管が総理府から環境省に移管されましたが,施行後5年(平成17年)を目途として施行状況の検討を行い,必要に応じ所要の措置を講ずる旨の附則及び課題等を示した附帯決議を行いましたが,残念なことに,依然として動物の不適切な飼い方や近隣への迷惑問題の発生が見られ,また,動物たちを命ある限り一緒に暮らす家族として「戸籍」を作ることが重要であると考えていますが,マイクロチップ等による所有者の明示状況もはかばかしくありませんでした.

(2)このようなことから,平成11年改正の附則・附帯決議に基づき自由民主党では,平成16年3月から,私,北村が委員長(自民党政務調査会環境部会「動物愛護に関する小委員会」)となり,下記の経緯を経て改正法が成立しました.


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