会報タイトル画像


会議報告

平成17年度地区獣医師会連合会会長会議の議事概要

I 日 時:
平成18年2月20日(月) 13:30〜16:30

|| 場 所:
日本獣医師会・会議室

||| 出席者:
会  長:山根義久
副会長:藏内勇夫,中川秀樹
専務理事:大森伸男
【地区獣医師会連合会会長・副会長】
北海道地区:金川弘司(北海道獣医師会会長)
東北地区:勝見 晟(東北獣医師会連合会会長・山形県獣医師会会長)
     坂本禮三(東北獣医師会連合会会長・福島県獣医師会会長
関東地区:河原田勝(関東地区獣医師会連合会副会長・川崎市獣医師会会長)
東京地区:手塚泰文(東京都獣医師会会長)
中部地区:杉山俊一(中部獣医師会連合会会長・静岡県獣医師会会長)
     水下健次(中部獣医師会連合会副会長代理・新潟県獣医師会専務理事)
近畿地区:野田周作(近畿地区連合獣医師会会長・大阪府獣医師会会長)
     脇田英一(近畿地区連合獣医師会副会長・京都府獣医師会会長)
中国地区:藤井 晋(中国地区獣医師会連合会会長・岡山県獣医師会会長)
     滝口次郎(中国地区獣医師会連合会副会長・広島県獣医師会会長)
四国地区:湊  惠(四国地区連合獣医師会会長・香川県獣医師会会長)
九州地区:大山英隆(九州地区獣医師会連合会会長・鹿児島県獣医師会会長)
     穴見盛雄(九州地区獣医師会連合会副会長・熊本県獣医師会会長)

|V 議 事:
    1. 地区獣医師会連合会獣医師大会等の件
      (1)平成17年度地区獣医師大会・学会開催状況
      (2)平成17年度地区獣医師大会決議要望事項等に対する対応
    2. 日本獣医師会三学会年次大会の件
      (1)平成17年度三学会年次大会(連携大会)の開催
      (2)平成18年度以降における三学会年次大会の開催計画
    3. 日本獣医師会職域別部会の運営状況等の件
    4. ケタミンの麻薬指定の動きと対応の件
    5. 公益法人制度改革の件
    6. 高度動物医療センターの件
V 会議概要:
【会長挨拶】
 冒頭,山根会長から大要次の挨拶があった.
(1)新執行部が発足し,8カ月が経過したが,懸案事項については,早期対応が必要なもの,時間を要するもの等,臨機応変に対応したい.
(2)3月18日から,つくば国際会議場にて開催する三学会年次大会(連携大会)では,秋篠宮殿下に記念講演をいただくこととしており,参加登録についても,引き続き地元での協力をお願いしたい.
【座長就任】
 続いて,山根会長が座長に就任し,次のとおり会議が行われた.
【議  事】
1 地区獣医師会連合会獣医師大会等の件
(1)平成17年度地区獣医師大会・学会開催状況
大森専務理事から,各地区獣医師大会・地区学会の開催状況等報告がなされた.
(2)平成17年度地区獣医師大会決議要望事項等に対する対応
ア 大森専務理事から,今回,7地区において提出された決議要望事項については,項目ごとに整理し,対応の考え方を別紙のとおり取りまとめたことが説明された後,北海道獣医師会金川会長から,[1]北海道では道獣医師会の要請を受け,次年度から札幌市,道内の14支庁の保健所にマイクロチップのリーダー設置について予算化される.[2]北海道大学獣医学研究科では,文部科学省へ教育科目として獣医師倫教育の追加を要望したところ,了承された.[3]有珠山噴火災害現場の虻田町では,現地の公園にペット慰霊碑を作ることとなったことが報告された.
イ 引き続き,大要次のとおり質疑応答が行われた.
(ア)獣医学教育体制の整備・充実に関し,教官数72名が,その後,54名となり,実際はさらに少数で対応されているようだが,今後の教育体制が危惧される.再編整備も困難な状況で,獣医師会として確固たる対応が必要である.
 これに対して,山根会長から,大学基準協会では60名以内の学生定員の場合は,18講座72名の教官が必要であるとしたが,全国国公立大学農学関係学部長会議では,現状では困難なため,最低54名の教官が必要とした.しかし,国立大学の独立行政法人化に伴い,各大学が人気のある獣医学科を保持するため,18講座36名とし,再編整備は見送られた.実情は各講座教官2名体制で助手のポストがなくなり,特に臨床系の講座で人手が足らず,苦慮している.
 また,動物病院から大学病院へ紹介しても3カ月待たされる等,二次診療を行う,高度診療施設としての役割も機能しておらず,社会のニーズに応えられていない.外部資金の導入を考慮しても,まず教員が足りない.文部科学省では,300名近い学生に対して,300名の教員がおり,諸外国に劣っていないと判断しているが,現在,学部学生,大学院生の協力で成り立っている現状で,5年,10年先の教育のあり方が危惧される.
 ついては,獣医学系大学の獣医学科を3,4箇所に統合する等,再編整備することにより,充実した教育の実現を図るため,現在,学術・教育・研究委員会においても,外部評価委員会の立ち上げ等を検討している旨が回答された.
(イ)環境省では危険動物におけるマイクロチップの技術講習会を行う等,個体識別措置として導入が推進されているが,厚生労働省の狂犬病予防法に基づく犬の個体識別についての対応状況はいかがか.
 藏内副会長から,環境省では,マイクロチップを外来生物法指定の哺乳動物及び爬虫類,動物愛護法の行政施策における危険動物等への個体識別措置として位置付けているが,狂犬病予防法での個体識別は,首輪への鑑札装着にとどまっている.本会としては,法律の整合を図り,犬猫についても個体識別に最も有効であり,狂犬病予防法の対策推進のためにも,マイクロチップの導入は必要不可欠である旨を要請している.しかしながら,厚生労働省では,40年以上疾病が発生していない現状,狂犬病予防法の改正要望をすると,法自体の存亡にかかるとの見解を示しており,現状では積極的に取り組む姿勢はない旨回答された.
(ウ)保健所長へ獣医師の登用の道が開けたことについて,説明願いたい.
 大森専務理事から,従来,保健所法では,保健所の長は,医師のみと限定されていたが,医師以外の獣医師等の専門職においても保健所業務において,食の安全・安心,公衆衛生対策を推進しており,保健所で技術,知識の研鑚を積んだ者も保健所長として登用べきとしてきたが,政令が改正され,獣医師職員の保健所長登用への道が開けたこととなった旨回答された.

2 日本獣医師会三学会年次大会の件
(1)平成17年度三学会(連携大会)の開催
 大森専務理事から,平成17年度の三学会年次大会(連携大会)については,事前登録も期限が迫っており,地区におかれても,地元獣医師を取りまとめていただく等して,積極的に参加登録に協力いただきたい.なお,秋篠宮殿下には,開会式,懇親パーティーにご臨席いただくとともに記念講演をお願いしている旨説明された.
(2)平成18年度以降における三学会年次大会の開催計画
 大森専務理事から,平成18年度は,埼玉県獣医師会委託開催形式による大宮市開催,平成19年度は,四国地区獣医師会連合会,香川県獣医師会委託開催形式による高松市開催の予定であり,以降については,連携大会のあり方も含め,本大会終了後,検討することとなる旨説明された.

3 日本獣医師会職域別部会の運営状況等の件
(1)大森専務理事から,職域別部会おける各委員会の状況として,平成16年8月以降,各委員会ではテーマに即した検討を行っており,また,地区獣医師大会の決議要望事項についても,ほぼテーマと重なることから,委員会の中で議論し,方向性を示すこととされ,各委員会の会議概要はホームページ構成獣医師・会員専用サイトに逐次掲載している旨説明された(本誌223頁参照).
(2)質疑応答として,職域総合部会の小動物保健衛生情報検討委員会及び小動物獣医療実態調査検討委員会については,小動物臨床部会,農林水産省畜水産安全管理課小動物獣医療班との連携のあり方について発言があり,大森専務理事から,両委員会は職域総合部会の委託事業委員会という位置付けにあり,委員会が小動物医療の実態にかかることから,小動物臨床獣医師に委員として参画いただき,さらに組織的連携の必要があれば,関係部会長会議で議論を重ねることとしている.一方,両委員会開催の際は,小動物獣医療班の担当官に逐次出席いただいている旨回答された.

4 ケタミンの麻薬指定の動きと対応の件
(1)大森専務理事から,ケタミンの麻薬指定の動きと対応が報告され,その中で,[1]厚生労働省では,3月末日,政令で麻薬指定を行うが,12月までを移行期間する予定であること,[2]動物用麻薬製剤の供給について,現在,製造している2社のうち1社は,本剤の卸売り流通の観点から動物用製剤について製造を中止すること,もう1社は,今後,獣医師の麻薬施用者免許の取得見通し等,本剤取扱い状況を見定めた上で,製造を検討したいとの見解であること,[3]同剤を野生動物等の不動化に用いる際は,治療と位置付けるため,診療を前提とすること,[4]現在,同剤以外の代替方法等の留意事項について,獣医麻酔外科学会へ見解を依頼していること等が説明された(本誌第59巻第2号90頁,第3号163頁参照).
(2)引き続き,大要次のとおり質疑応答が行われた.
ア 動物診療施設での塩酸ケタミン製剤の取り扱いについての罰則はどのようなものか.
 これに対して,大森専務理事から,麻薬及び向精神薬取締法に基づき,重大な違反は懲役10年,罰金50万等が課せられることとなる.安易な考えで大量のケタミンを購入した獣医師がいる旨仄聞したが,法施行後において,麻薬施用者の許可手続を受けない場合については直罰が課せられることとなる旨回答された.
イ 一部の都道府県では,同製剤についての講習会を行っているようだが,全国で一律に開催はされないのか.
 これに対して,大森専務理事から,本会から厚生労働省に対し都道府県における事前の講習会の開催等円滑な指導を要請した.施用者免許証の交付を知事が有するため,地方獣医師会から都道府県での開催を依頼願いたい旨回答された.
ウ 施用者免許を受けた都道府県外で本剤による治療は可能であるか.
 大森専務理事から,施用者免許を受けていれば他県でも可能であるが,診療所の分院を他県に持っているような場合は両院で施用者免許を取得するのが基本である.なお,今後,卸売り,保管場所等,具体的な事例については,厚生労働省からQ&Aの様式で具体的に見解を示してもらう予定である旨回答された.
 
5 公益法人制度改革の件
 大森専務理事から,本件について,大要次のとおり説明がなされた.
(1)公益法人制度改革のスケジュール
 平成14年,閣議決定により,公益法人制度改革に取組みを開始し,平成15年,基本方針として,一般的な非営利法人制度の創設と公益性を有する場合の取り扱い等を示し,平成16年,有識者会議の報告書に基づき,「公益法人制度改革の基本的枠組み」が具体化され,法律の立案作業を経て,本通常国会へ法案が提出される.
(2)公益法人制度改革(新制度の概要)

ア 一般的な非営利法人制度
(ア)総則的事項
a 一般的な非営利法人制度には,社団形態の法人と財団形態の法人を設ける.
b 法人は,その事業の公共性の有無に関わらず,準則主義(登記)によって簡便に設立できる.
c 法人制度の乱用防止の観点から,会社法と同様に,休眠法人の整理の制度及び裁判所による解散命令の制度を設ける.
(注:法人は,余剰金を社員または設立者に分配することを目的としない.)
(イ)社団形態の法人
a 設   立
[1]社員となろうとする者(設立時社員)2名以上が共同して定款を作成する.
b 機   関
[1]機関の設置
・社員総会及び理事は必置とする.
・定款の定めにより,理事会,監事または会計監査人の設置も可能とする.
c 計 算 等
[1]各事業年度にかかる計算書類等の作成を義務付ける.
d 基   金
[1]法人は,定款で定めることにより,その資金調達及び財産的基礎の維持を図るための制度として,基金制度が採用できるものとする.

イ 公益性を有する法人の認定等に関する制度
(ア)総則的事項
a 非営利法人のうち,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする事業は,(以下「公益的事業」という)を行うものは,内閣総理大臣及び都道府県知事(以下「行政庁」という)の認定を受けることができるものとする.
b 行政庁による認定等は,以下のとおり行われるものとする.
[1]内閣総理大臣は,有識者からなる合議制の委員会の意見に基づき,公益性を有する法人を認定し,認定を受けた法人(以下「公益認定法人」という)の監督等を行うこととする.
(イ)認定基準等及び遵守事項
a 行政庁は,公益認定法人の満たすべき要件について,認定の申請をした法人が,これに適合すると認めるときは,公益性を有する法人として認定するものとする.
b 公益認定法人の満たすべき要件として,以下の各事項を柱に,具体的認定基準等または遵守事項を定めるものとする.
[1]目的・事業
・公益的事業を行うことを主たる目的とするものであること.
・特定の者に対し,特別の利益を与えるような事業を行わないこと.また,公益事業として営利企業と競合する性質を有する事業活動等を行わないこと.
・公益的事業に係る事業費が,原則として,全事業費及び管理費の合計額の半分以上を占めること.
[2]機   関
・同一親族等が理事及び監事の一定割合以上を占めないこと.
・会計監査法人をおいていること.
[3]財 務 等
・公益的事業を実施するため必要と認められる資産を維持するための措置を講じていること.
・収益を法令の定める方法により処理すること.
・必要限度を超えて内部留保を保有しないこと.
・公益的事業以外の収益は,原則として公益事業に使用し,その会計は,公益的事業の会計から区分して経理すること.
(税制上の優遇措置が受けられる)

ウ 現行公益法人等の新制度への移行
(ア)現行公益法人の存続
a 新法施行日において新法の規定による社団形態の法人または財団形態の法人として存続するものとする.
(注:上記による法人であって,移行登記を行っていないものを特例社団法人」または「特例財団法人」といい,これらを総称して「特例民法法人」という.)
b 特例民法法人は移行期間中,「社団法人」,「財団法人」というこれまでの名称を使用できる他,現行民法関連規程及び「公益法人の設立許可及び指導監督基準」等と同様の規定,基準等に基づき,現行の所管官庁が引き続き指導監督するものとするなど,実質的には現行の公益法人と同様の扱いとする.
(イ)移行期間の設定及び移行期間満了日を経過した特例民法法人の取り扱い
a 特例民法法人は,施行日から起算して5年を経過するまでの間に公益性の認定の申請または公益性の認定を受けない通常の社団または財団への移行の認可の申請ができるものとする.
b 移行期間の満了日において,上記の公益性の認定または移行認可を受けていない場合は,当該日において解散するものとする.
(ウ)特例民法法人に対する新法の適用
a 特例民法法人の定款の記載,機関設計等については,新法の規定は適用せず,従来どおりとする.
(エ)特例民法法人から公益認定法人への移行
a 認定の申請
公益法人の移行を希望する特例民法法人は,旧主務官庁を経由して行政庁に対して公益性の認定を申請できるものとする.
b 認定の審査
c 移行後の監督

エ そ の 他
 新法は,公布後,必要な周知期間を置いた後,平成20年度中に施行する.法律の円滑な施行を図るため,上記委員会の組織等にかかる部分は先行して施行する.

 

6 高度動物医療センターの件
(1)山根会長から,高度動物医療センターの設立構想については,日本獣医師会が推進するものでもなく,また,日本獣医師会会長の立場で推進するものでもないとした上で,設立構想の趣旨,これまでの計画の経過,地方獣医師会をはじめ関係者に対する説明状況等が報告された後,大森専務理事が,本件について山根会長が地方獣医師会会長の理解を得るために整理した「山根会長所信(案)」を読み上げた.
(2)山根会長から「所信(案)」については,原案のまま地方獣医師会会長に送付する旨が説明され,これに対し異論はなかった.

7 そ  の  他
 大要次のとおり質疑応答が行われた.
(1)全国獣医師会会長会議は,発言時間も限られていることから,ブロックの意見を聞く場として,地区獣医師会連合獣医師会会長会議が設置された.連合会長会議の翌月に開催される全国会長会議では,説明内容が似通っているが,会議のあり方は,これでよいのか.
 大森専務理事から,連合会会長会議は,本会と連合会の意見・情報交換,会長会議は,本会と地方会との意見・情報交換の場として位置付けられている.本日,地区大会で協議・決定されたことを,協議の過程を含め,全国会長会議において説明・報告するということであり,まず連合会会長会議ありきとの順番である.連合会会長会議においては,ブロックでの課題である各地区の課題として提出された大会決議要望事項について,ブロックの意見も踏まえ,協議・決定する役割として機能している旨回答された.
(2)20年間に渡り,獣医界のため,尽力いただいた北村直人代議士が,このたび政界を引退されることとなった.北村先生の後継者となるべき獣医師を国会へ送り込むべきである.
 山根会長から,現状では,日本獣医師政治連盟を強化いただくことで対応していきたいので,地方獣医師会においても地元で支援いただきたい.北村先生におかれては,今後とも活躍の場を提供させていただき,引き続き,指導いただきたい旨回答された.
(3)1月25日付畜水産安全管理課長名で各都道府県畜産主務部獣医事主務課長あて,「狂犬病予防注射の集合注射について」の通知があり,これが県から獣医師会へ公文書で通知された.内容は獣医師法及び獣医療法における集合注射の取扱いの解釈等についてである.内容の一部には集合注射の現状に照らしたとき,遵守の可能性について疑問がある.
 中川副会長から,集合注射でも診療して接種する必要があり,横浜市では事前に登録した飼い主には集合注射場所の案内ハガキを送付し,これを当日持参いただき,獣医師はハガキの問診欄をチェックした後,実施するという方向で対応しており,これを検診書と理解している.なお,自治体によっては,獣医師会との協議により,飼い主の名簿に問診,薬品名の記載欄を設け,獣医師が捺印する方法で対応を予定されているところもある旨が回答された後,大森専務理事から,通知は農水省と都道府県担当者との全国会議の中で課題となった事項の回答を内部文書として発信したようである.他にも「業」等の解釈について,戸惑う内容が示されていると仄聞している.農林水産省には内部文書といえども,事が法解釈である以上,精緻に解釈して扱うべきであり,現場の混乱を招くことがないよう対処を求めた旨回答された.


次へ