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会議報告

平成17年度第3回理事会の議事概要

| .日 時: 平成17年9月8日(木)13:30〜16:00
|| .場 所: ホテルフロラシオン青山2階「芙蓉の間西」
||| .出席者:  
会 長: 山根義久
副会長: 藏内勇夫,中川秀樹
専務理事: 大森伸男
地区理事: 田村誠朗(北海道地区)
坂本禮三(東北地区)
高橋三男(関東地区)
手塚泰文(東京地区)
杉山俊一(中部地区)
小島秀俊(近畿地区)
白石清則(中国地区)
宮地忠義(四国地区)
麻生 哲(九州地区)
職域理事: 近藤信雄(開業(産業動物)
細井戸大成(開業(小動物)
横尾 彰(家畜共済)
森田邦雄(公衆衛生)
監  事: 桑島 功,高野貞男,玉井公宏
代理出席: 丸山 崇(家畜衛生職員会副会長/大田霙三畜産・家畜衛生担当理事代理)
欠  席: 酒井健夫(学術・教育・研究担当理事)
大田霙三(畜産・家畜衛生担当理事)
|V .議 事:  
【報告事項】  
1. 業務概況等の件
2. 代表監事選出の件
3. 職域別部会の部会委員会の構成及び委員委嘱等の件
4. 動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正及び特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の施行の件
5. 農林水産省小動物獣医療に関する検討会報告書の件
6. 「祝う集い」開催の件
7. その他
【議決事項】  
第1号議案 副会長の順序の件
第2号議案 顧問委嘱の件
第3号議案 日本獣医師会会長特別感謝状授与の件
第4号議案 五十嵐幸男前会長の退任慰労金の件
第5号議案 「日本獣医師会個人情報管理規程」制定等の件
第6号議案 賛助会員入会の件
【協議事項】  
  平成18年度及び19年度以降の日本獣医師会三学会年次大会の件
V .会議概要:  
【会長挨拶】

冒頭,山根会長から,大要次の挨拶があった.

  1. 第62回通常総会により会長に推挙いただき,7月より新執行部がスタートしたが,獣医界にはまだ多くの課題がある.
  2. 獣医学教育では,国立大学は一昨年の大学法人化に伴い,当初再編整備における目標としていた教員数から大幅に減数となり,特に臨床系の研究室では動物病院の運営に支障をきたしており,今後の教員養成についても見通しが立たない状況にある.
  3. 産業動物の臨床現場では,特に家畜共済の加入率の低下による職員の待遇悪化,診療点数や往診料等についても大変厳しい状況にある.
  4. 小動物臨床の現場では,狂犬病予防注射については,地方ではいまだに雨天時公民館の軒下で行われる等,劣悪な環境で対応され,獣医師の地位を貶めるような状況にあるが,少数の獣医師会では動物病院で行ったところ,飼い主の希望日に行えるためか,注射頭数が増加した例もある.同様にマイクロチップの問題についても,飼い主のニーズに応えながらの対応が求められる.
  5. 公衆衛生分野では,食の安心・安全の重要性は認識されているものの,茨城県での高病原性鳥インフルエンザの発生に際し,家畜保健衛生所の職員は猛暑の中,劣悪な環境で対応するといった状況である.
  6. 以上のような問題を解決するために,地方獣医師会と意思の疎通を図りつつ,皆様のご支援を得ながら,緩急自在に対応し,改革に努めてまいりたい.

【議長就任・議事録署名人の指名】
 続いて,大森専務理事から役員の紹介が行われた後,山根会長が議長に就任し,田村,森田両理事を議事録署名人に指名して会議が次のとおり行われた.

【報告事項】
 
1.業務概況等の件
 前回理事会以降(平成17年6月21日から平成17年8月20日まで)の業務概況について大森専務理事から報告が行われた.
 
2.代表監事選出の件
 大森専務理事から監査規程に基づき,新監事の互選により玉井監事が代表監事に選任された旨報告された.
 
3.職域別部会の部会委員会の構成及び委員委嘱等の件
 大森専務理事から,本年度新たに発足した職域別部会委員会の構成及び委員の委嘱について報告された(本誌第58巻第10号652頁参照)後,委員推薦依頼に当たっては,今後,簡潔で分かりやすい通知を希望する旨要望が出された. なお,金川副会長から次のとおり関連補足説明等が行われた.
 
4.動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正及び特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の施行の件
 大森専務理事から去る6月22日に公布された「動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正」及び6月2日に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の概要について報告された(本誌第58巻第7号449頁及び第8号525頁参照).
 
5.農林水産省小動物獣医療に関する検討会報告書の件
(1) 中川副会長から,農林水産省に設置された小動物獣医療に関する検討会については,本会関係者を含めた委員11名により,小動物獣医療に関する問題点の抽出と今後の施策について,本年1月から7回にわたり検討を行い,このたび検討会報告書が作成された.本報告書については,獣医事審議会へ提出される予定である旨報告された後,その内容は大要次のとおり.

ア はじめに
(ア) 現在,獣医師3万名のうち,小動物診療に従事する獣医師は1万名弱と最も多い.
(イ) 小動物飼育者は増加し,少子化,一人暮らし等の増加を背景に動物を家族として認識する人が増加している.また,室内飼育の増加等環境変化により動物の寿命も伸び,罹患する疾病も複雑化する一方,診療対象動物についても犬,猫,小鳥の他,特定外来生物等も含め,げっ歯類や爬虫類など多種となり,多様かつ高度な診断,治療への要求が高まってきている.
(ウ) 一方,家畜衛生や公衆衛生の領域においては,わが国では口蹄疫が92年ぶりに発生,さらにBSEの発生,高病原性鳥インフルエンザの流行が認められ,海外で発生している狂犬病,ペスト,サル痘,ニパウイルス感染症,ウエストナイル熱,あるいはSARSなど,新興・再興感染症がの大半が人と動物の共通感染症である.このような背景から,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に獣医師へ感染症予防の責務規定が創設され,獣医師が診断した際,届出の必要な疾病も追加され,獣医師の果たす役割はより重要となっている.
(エ) 本検討会では,獣医師が国民生活の質の向上に貢献すべく,小動物医療のあり方を検討することとし,特に[1]獣医師の卒後臨床研修,[2]獣医核医学,[3]獣医療における専門医,[4]獣医療における広告規制及び[5]獣医療補助者について議論し,獣医事行政及び獣医療関係者への提言を次のとおり取りまとめた.

イ 検討課題
(ア) 卒後臨床研修について
現在,産業動物診療獣医師対象の診療施設は,農業共済組合の診療施設等,4診療施設,8診療群(88施設)が指定されているが,小動物診療獣医師については,獣医系大学の16診療施設のみ,2割程度の実施率で,ほとんどが研修場所を臨床開業医に求めるという状況であり,今後,しっかりした研修先の整備とカリキュラムの策定が必要である.
小動物の獣医療の確保のために,獣医師免許取得後の臨床研修は重要な役割を担っているが,獣医系大学の診療施設だけでは,小動物診療分野を志向する獣医師に臨床研修を実施することは困難な状況から,高度診療施設である大学の診療内容とは同一でないが,規模,人員等の充実した民間診療施設等を一定の基準により臨床研修施設として指定するよう体系化すべきである.また,臨床研修に必要なプログラムが整備されていない状況を踏まえ,民間の診療施設での臨床研修では,まず,獣医学系の大学と緊密な連携を取り,進めることが適切である.さらに以上を踏まえ,本検討会で,民間の診療施設を指定する際の基準案を示した.
(イ) 獣医核医学について
最近,腫瘍の診断,治療において急速に普及が見られるPositron Emission Tomography(PET)等の核医学を使った方法が海外で応用されているが,わが国の獣医療において,放射線障害防止に関する規定に基づき,高エネルギー放射線発生装置による腫瘍の治療等を行っている診療施設は,大学の付属病院を含め2施設でのみで,また,放射性医薬品など,非密封線源を用いた治療は行われていない.しかし,国内の獣医系大学16校に行ったアンケート調査(平成17年3月)によると,獣医療における放射線治療や獣医核医学による診断の有用性は高く評価され,これらの原理や用途,実施時の放射線防護についても大半の大学で講義されている.また,すでに高エネルギー放射線発生装置を導入している大学が1校あり(他1校が導入予定),その他11校が同装置や放射性医薬品及びPETを用いた核医学の導入を検討している.
現状では,獣医療において放射性の薬剤を使用した診断,治療や医療機器を用いての放射線治療を行う場合,放射線の防護に関する法律(障防法)に定められた使用,設備基準,管理体制を満たす必要がある.しかし,薬事法により承認を受けた放射性医薬品については,障防法の規制対象外であり,また同法の規制対象とされている医療機器等であっても,獣医療における放射線診療に求められる特有の施設基準,管理体制は必要であるため,獣医療法において必要な基準を規定する必要がある.
本件については,専門性が高いため,専門家による作業部会での検討により,医療法施行規則に定められた「診療用放射線の防護」の規定を参考に獣医療法施行規則に規程を設ける必要がある事項が示され,これに沿った基準を策定することが適切であるとした.
(ウ) 獣医療における専門医について
獣医療における専門医制については,複数の学術団体の中で専門医・認定医等の認定がされているが,その条件はさまざまである.現在小動物の獣医療の中で,専門知識を有する治療,技術が必要な例は多々あり,飼い主のニーズに応えるためにも専門医制を体系的に構築し,一次診療に従事する獣医師が専門性をもつ二次診療施設を紹介できるような環境の整備が必要である.
このため,小動物獣医療の高度化推進においては各分野の専門医を育成する必要があり,また,専門医の必要性や認定基準の妥当性を評価する仕組みを検討する必要がある.
(エ) 獣医療における広告制限について
飼い主の獣医療に対する情報の適切な入手の必要性がある一方,悪質な勧誘診療等よる不適切な治療等によって動物の健康に被害の生じる事例もある.
このため,広告規制緩和は,[1]いずれの診療所においても実施可能な一般的行為であり,[2]飼育者が惑わされる恐れの少ないものとし,[3]飼育者の情報の必要性を十分勘案して行う必要がある.本検討会においては,医療における広告規制を比較し,獣医療の実態を考慮した上で,広告をしても差し支えない具体的な事項を示したが,飼育者,獣医師が混乱を生じないためにも,料金,比較広告等の禁止等の措置をとる等の対応が必要である.また,第17条第1項に認められる「専門科名」についても例示した.
なお,広告制限に関する規定が,獣医師に十分に理解されるよう周知徹底を図る等の対策が必要である.
(オ) 獣医療補助者について
現在多くの獣医療補助者が,小動物診療施設で雇用され,重要な役割を果たしているが,複数の認定団体が独自の基準で認定しているため,そのレベルが一定でない,社会的な位置付けが明確でない等の問題がある.ついては,獣医療補助者の教育機関,認定団体及び獣医師団体が協調し,早急に教育水準や認定基準の平準化に取り組むことが必要である.
(2) 続いて,同検討会委員である細井戸理事から,上記,(ア),(イ),(エ)については,農林水産省及び文部科学省で近々に具体的措置がとられるとのことであり,われわれのさらなる協力により実現されると思われるが,(ウ),(オ)については,関係団体における取り組みを促進するとの方向が示されているので,小動物臨床部会の常設員会である小動物委員会において,その対応について検討することとしたい旨補足説明された.
 
6.「祝う集い」開催の件
 藏内副会長から先に勇退された五十嵐前会長に感謝を捧げ,また,山根新会長の就任を祝う集いを,今後のわが国獣医界の発展も祈念して,9月18日,帝国ホテルを会場として,323人の発起人を主催者として,開催することとした旨が報告された.
 
7.そ の 他
 大森専務理事から,本会では小動物医療提供体制の整備に向けて,診療技術の高度化,多様化,専門分化,更に,小動物医療分野への獣医師の新規参入等が進む中での勤務医制の対応,獣医学教育の整備充実等の実現等に取り組んでいる.今日,高度医療,二次診療について社会の要求に応えるべき種々の試みがなされている状況にあるが,このことに関連した反対運動が生じていることについて,山根会長から,真意のほどを理事会において説明したい意向がある旨報告された後,山根会長から日本獣医師会とは直接関係ない事項とした上で,高度専門動物医療・教育研究を担う動物医療施設の設立構想について,計画に至る経過,必要性,運営の考え方等の説明がなされた.

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