会議報告

第62回通常総会の議事概要

| 日 時: 平成17年6月28日(火)13:00〜16:30
|| 場 所: 明治記念館 2階「蓬莱の間」
||| 出席者:  
1.正会員:全国55都道府県市獣医師会
2.日本獣医師会:
会  長: 五十嵐幸男
副 会 長 : 金川弘司,辻 弘一
専務理事: 大森伸男
地区理事: 坂井清治(北海道地区),武田金之助(東北地区),
中川秀樹(関東地区),手塚泰文(東京地区),
東出義弘(中部地区),串田壽明(近畿地区),
坪倉 操(中国地区),竹内 久(四国地区),
藏内勇夫(九州地区)
職域理事: 酒井健夫(学術・教育・研究),稲庭政則(開業(産業動物)),
岡本有史(開業(小動物)),横尾 彰(家畜共済),
森田邦雄(公衆衛生)
監  事: 玉井公宏,麻生 哲
欠  席: 宮沢 壽(畜産・家畜衛生)
3.来  賓:
衆議院議員: 谷津義男議員・獣医師問題議員連盟会長,
北村直人議員・獣医師問題議員連盟幹事長・本会顧問
農林水産省: 中川 坦・消費・安全局長,
釘田博文・衛生管理課長,
相田善勝・衛生管理課課長補佐(獣医事班担当),
大石弘司・衛生管理課課長補佐(小動物獣医療班担当),
信太英治・経営局保険監理官,吉武 朗・経営局保険監理官補佐
厚生労働省: 外口 崇・医薬食品局食品安全部長,
南 俊作・食品安全部監視安全課長,
桑崎俊昭・監視安全課輸入食品安全対策室長,
道野英司・監視安全課課長補佐,
牛尾光宏・健康局結核感染症課長,
滝本浩司・健康局結核感染症課情報管理室長,
三木 朗・健康局結核感染症課課長補佐
環境省: 小野寺 浩・自然環境局長,
上杉哲郎・野生生物課生物多様性企画官,
東海林克彦・総務課動物愛護管理室長
関係団体: 佐々木伸雄・社団法人日本獣医学会理事長,
内藤廣信・社団法人中央畜産会常務理事,
山下喜弘・社団法人畜産技術協会会長,
矢ヶ崎忠夫・社団法人日本動物用医薬品協会専務理事,
今村隆二・社団法人全国動物薬品器材協会理事長,
細井戸大成・社団法人日本動物病院福祉協会専務理事,
四宮勝之・社団法人日本動物保護管理協会事務局長
4.傍聴者等:54名

IV 議 事:
第1号議案: 平成16年度事務事業及び決算報告の件
第2号議案: 平成17年度事業計画(案)及び収支予算(案)の件
第3号議案: 平成17年度会費及び賛助会費の件
第4号議案: 獣医師道委員会委員改選の件
第5号議案: 役員選任管理委員改選の件
第6号議案: 役員選任の件

V 概 要:
【開  会】
 大森専務理事から,開会時における出席会員数52会員,表決件数153で,定款の規定に基づく定足数を満たしており,本総会が成立する旨が報告され,開会された.

【会長挨拶】
 五十嵐会長から大要次のとおり開会挨拶が行われた.
〈社団法人日本獣医師会 五十嵐幸男会長〉
 皆さん,こんにちは.猛暑のところ全国各地からお集まりいただきましたことをお礼申し上げます.なお,きわめて政務ご多忙のところ,われわれが日々ご指導いただいております,谷津義男先生,北村直人先生をはじめ,関係官庁,関係団体の方々等のご臨席をいただき,心から感謝申し上げる次第です.
 さて,私どもを取り巻く情勢に目を向けますと,先日,清浄後1年の間,発生をみなかった高病原性鳥インフルエンザが茨城県において発生しました.これには,一日の偸安を許さぬという言葉どおり,われわれも予断を許さぬ心構えが必要であります.また国外においても,中国で発生した口蹄疫では,1,000頭以上の牛を殺処分したと仄聞しております.このように海外悪性伝染病,人と動物の共通感染症の発生等に備えるとともに,さらに今日の重要課題である食の安全・安心について,生産者のみならず,消費者の立場に立って,われわれ,獣医師が社会から期待に応えるべく,その使命を着実に果たすべき時代が来たものと認識しております.
 幸いにして,皆さんが生涯研修等を通じて新しい知識を習得し,日々研鑚して自らの力を蓄えられ,一旦緩急あれば,即時対応できる体制が整っていることに改めて感謝する次第です.
 そして,何より早期予測,早期対応を念頭に今まで以上に注意を怠ることなく,国民の期待に誠実に応えていく時代であると痛切に感じております.
 一方,小動物獣医療については,昨年,ここにおられる北村直人先生が農林水産副大臣でおられた際,多大なご尽力をいただき,農林水産省消費・安全局衛生管理課にわれわれの念願であった小動物獣医療班が設置されました.現在,衛生管理課では,小動物獣医療に関する検討会を設置し,これに本会関係者が委員として参画し,種々の問題ついて検討を行っているところです.
 また,動物愛護法も一部改正されましたが,飼養者の責任とともに,今日の社会において人と動物との絆がますます重要となってきている時代でもあります.
 そして,そのような中で高度医療への対応,さらに専門医制度等についても検討を進めておりますが,われわれがさらなる生涯研修を通じ,自己を研鑚し,知識と技術の向上に努めることが,社会からの信頼獲得の最たる条件であろうと考えている次第です.
 本日は,皆さんに1年有余にわたりご検討いただいた職域別部会制の発足に基づく対応.また,役員改選も含め,多数の議案がありますが,皆さんが協力一致して,この総会が実りある会議となりますことをお願い申し上げます.そして,日本獣医師会が将来に向かって,新たに出発する日でもあろうと考えておりますので,互いが和の気持ちをもち,和やかな雰囲気の中で本総会が終了できるよう皆様方にご依頼申し上げ,私のご挨拶に代えさせていただきます.ありがとうございました.

【来賓御挨拶(大要)】

 来賓から大要次のおとりの挨拶が行われた.
〈獣医師問題議員連盟会長 谷津義男衆議院議員〉
 皆さん,こんにちは.皆さん方は獣医師として,家畜動物,そしてペットに纏わる事柄に大変なご尽力をいただいておりますことを心から感謝申し上げる次第です.
 私の地元が群馬であり,埼玉県熊谷市の五十嵐先生とは隣の町なものですから,日頃からご指導をいただいております.特に学校飼育動物対策における動物愛護について,これは情操教育に非常に大切なものですが,実は群馬県が先進的な事業を行っております.これを全国の学校で普及するよう,五十嵐会長と一緒に文部科学大臣に陳情に行く予定でおりましたが,大臣の方から私を訪問する機会があり,そこでお話ししたところ,文部科学省としても学校,教育関係者に対し,指導を行っているということでした.
 また,特に家畜防疫につきましては大変なご尽力をいただいておりますが,ごく最近,茨城で鳥のインフルエンザが発生いたしました.前回の発生時にも種々議論がされましたが,この伝染の経路についても,獣医師である北村先生,五十嵐先生,その他種々ご指導をいただいて,これを法律なり制度としてまいった経緯があるわけです.
 このような中で,環境省に纏わるペット関係につきましても,種々議論させてもらっているところでありますが,これもまた獣医師の先生方にもご指導いただかなければならないところです.哺乳動物等も購入後,成長すると面倒を見切れず,放してしまうという問題もあり,このような動物が日本の生態系に被害を及ぼすことを考慮して,動物種を指定し,飼養を制限する必要があり,このたびその法律が施行されました.
 現在,第二次の指定について検討が行われていますが,やはり多くの事項について獣医師の先生方にご指導いただかなければなりません.これはある意味では新しい分野かもしれませんが,今後とも,先生方にご指導いただきたいと思っております.
 さらに,BSEにつきましては,米国において新たな感染牛が発見されたということです.当初,発生が疑われた擬似の段階では,検査では陰性という発表でしたが,日本で行われている検査を行うと陽性を示したということです.こうのような状況を考えると,これまで多数の発生例が見逃されたことも疑われるわけですが,その検査方法,あるいは検査頭数等についての問題と考えられます.
 日本では,先生方からご指導をいただいき,全頭検査をしておりますが,最初に私へ提言された方は,五十嵐先生でした.これには種々意見もありましたが,食の安全,安心のためにはいち早く実施すべきだと考え,対応させていただきました.
 また一方で,アメリカ牛肉の輸入についても,今やはり食品安全委員会等で議論を尽くしているところでありますが,この委員会を設置する際にも,委員の中には必ず獣医師をメンバーとすることを強調されたのが,五十嵐先生でありました.その後の経過を見てみると,今般,設置されたプリオンの専門部会に携わる多くのメンバーが獣医師の先生です.
 今後とも,食の安全,安心のため,先生方には引き続きご指導いただきたいと思っております.
 今回,五十嵐先生が勇退されるとお聞きまして,先生へ留任を説得したのですが,今後は後任へ委ねたいとの強い意向を示されました.今日まで多大なご活躍されました五十嵐先生の長年のご労苦に改めて敬意を表する次第です.
 どうか,皆さん方も縦横の連絡,連携というものを緊密にしていただき,今後とも,日本獣医師会における皆様方の活躍を心から祈念申し上げます.何と言っても,国民の食の安全,安心は皆さん方の双肩に委ねられていると言っても過言ではないと思いますので,これからもよろしくお願いいたしまして,ご挨拶とさせていただきます.ありがとうございました.


〈獣医師問題議員連盟幹事長 北村直人衆議院議員〉
 大変高い席から恐縮に存じますが,皆さんと苦楽をともにしております北村直人でございます.本日は,全国の現場で,そして,それぞれの地域においてリーダーシップを取っていただいている役員の皆様方がお集まりになり開催される,第62回目の通常総会であります.心からご出席に感謝と,また敬意を表する次第です.
 本日はそれぞれのお立場でリスク管理をしていただいております農林水産省,厚生労働省,環境省の局長,部長さん,そして多くの課長さん方もご出席をいただいております.このように行政の方々が,皆さんの前でご挨拶されるということは,皆様方からの大きなご指導により,今,日本の行政がしっかりと行われているという証しであると思うところです.
 消費者の求める食の安全については,現在,プロ集団である日本獣医師会の皆さん方の知識,知見をしっかり取りまとめていただき,多くの国民や消費者の方々にリスクコミュニケーションをしていただけるよう,それぞれ都道府県,あるいは政令都市において努力いただいているところであります.
 また,先ほどからお話いただきましたとおり,鳥インフルエンザ,そして,米国でのBSEに関する問題も発生してきたところであります.このような問題において,日本の食の安全については食品安全委員会が,一つには科学的根拠を集約して国民の皆様方に提出する.それを受けて,リスク管理を行う行政が責任をもって政策に携わる.そして,日本獣医師会が中心となってリスクコミュニケーションをしながら,多くの消費者や国民の皆様方からの理解を得る.まさしくこのリスク管理,評価,そしてコミュニケーションによる,リスク分析の体制が整ったと思っております.
 ただそのリスク評価をする食品安全委員会が,あたかも最高裁判所のようにすべての判断を委ねられたとするならば,科学者の方々がすべての責任を負わざるを得ないような状況も危惧されますが,そのためには行政の方々が責任もって対応していただく必要があると考えられます.評価をいただいた際,行政側はそれをしっかり踏まえて,責任を持って国民に,あるいは消費者にその行政を行う.そのような対応でなければ,科学者の方々にその大きな責任を単に負わせるということにも繋がり,間違った国づくりになるのではないかと思うのです.科学者の知見をもとに,責任を持って堂々とこの管理をしていく.これが行政に求められている大きな使命ではないかと思うところであります.今後ますますリスク管理を行う,農林水産省,厚生労働省,そしてまた環境省行政の皆様方には,今以上の大きな使命と責任を果たしていただきたいと思います.
 さて,長いこと五十嵐会長さんには,日本獣医師会の会長としてご努力をいただき,私も五十嵐会長さんからのご陳情は,我がことのように受け止め,邁進をしてまいりました.そして,五十嵐会長さんとともに,私も一つひとつ実現,そして実行をしてきたところです.今回,五十嵐会長さんがご勇退をされるということをお聞きし,本当にご努力をいただいた五十嵐会長さんに,心から今までの感謝と,そして敬意を表する次第であります.今,日本獣医師会を取り巻く状況は,内外ともに大変厳しい状況にあります.会員の皆様方,そして47都道府県,政令都市の皆様方が心を一つにして,今こそ日本獣医師会を盛り立てていかなければならない大切な時期であると思っております.
 このような意味におきまして私も会員の一人として,そして,今,皆さんのご指導をいただいて国政に参加している政治家の一人であり,政治家としてのサポートは全力をもって行う所存です.皆様方の,心を一つにしたその結集を切に切にお願い申し上げ,いまこそ日本獣医師会が大きく羽ばたく年に,そしてまた羽ばたく節目にさせていただくことを重ねてお願い申し上げまして,大変粗辞でございますけれども,本日の総会にあたりましての私のご挨拶とさせていただきます.本日は誠におめでとうございます.