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会議報告

平成16年度全国獣医師会会長会議の議事概要

| .日 時: 平成17年3月24日(木) 10:15〜12:45
|| .場 所: ホテルフロラシオン青山「孔雀」
||| .出席者:  
【地方獣医師会】
 54地方獣医師会長ほか(欠席:石川県獣医師会)
【日本獣医師会】
会 長: 五十嵐幸男
副会長: 金川弘司,辻 弘一
専務理事: 大森伸男
地区理事: 坂井清治,武田金之助,中川秀樹,手塚泰文,
串田壽明,坪倉 操,竹内 久,藏内勇夫
職域理事: 稲庭政則,横尾 彰,森田邦雄
監 事: 玉井公宏,麻生 哲
代理出席: 東出義弘,酒井健夫,宮沢 壽,岡本有史
|V .議 事:  
1. 業務概況等の件
2. 平成16年度地区獣医師大会における決議要望事項に対する対応の件
3. 平成16年度における関係省庁要請活動の件
4. 小動物医療体制整備検討の件
5. 職域別部会の運営等の件
6. 関係省庁における平成17年度予算・組織定員要求等の件
7. 平成17年度日本獣医師会三学会年次大会の件
8. 新潟県中越地震被災動物救護対策の件
9. 日本獣医師会獣医師倫理規程集整備の件
10. 日本獣医師会獣医師生涯研修事業の件
11. その他
V .会議概要:  

【会長挨拶】
(本誌285頁 平成16年度第4回理事会会長挨拶と同様)

【座長就任】
 五十嵐会長が高橋三男・埼玉県獣医師会会長を座長に指名して,以下のとおり議事が進められた.

【議  事】
 
1.業務概況等の件
(1) 大森専務理事から,前回理事会以降(平成16年4月1日から平成17年3月15日まで)の業務概況について報告が行われた.
(2) 以上の説明に対する質疑応答として,公益法人制度改革に関して,公益法人の税の優遇措置等に関する資格審査機関の設置についての情報提供が依頼され,大森専務理事から,公益法人改革に関しては,昨年の12月24日,政府の審議会において,今後,登記により設立が可能となる準則主義を採用することとされ,非営利法人制度に移行する旨閣議決定された.ただし,一定の公益性を有する団体については,従来どおり税の優遇措置を認めるが,その審査機関については,国認可の全国団体の審査は内閣府設置機関が対応することとされているが,詳細は今後,議論される旨回答された.
 
2.平成16年度地区獣医師大会における決議要望事項等に対する対応の件
(1) 大森専務理事から,平成16年度地区獣医師大会決議要望事項等に対する対応について次のとおり説明が行われた.
〈本誌285〜286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉
(2) 以上の説明に対して,大要次のとおりの質疑応答が行われた.
ア. 獣医師倫理の向上についての質疑応答
(ア) 非会員獣医師による法令違反等については,小動物臨床,地方獣医師会の運営を揺るがす.当県では,近県の非会員の開業獣医師から飼い主へダイレクトメールで格安の狂犬病予防注射実施の広告が送付されている.これを知った市民の要請で市町村が料金を値下げすることが懸念される.
 狂犬病予防対策は,過去の豚コレラ防疫対策のように明確に国家防疫と位置づけ,ワクチン購入等も,地方獣医師会が管理し,適正な流通を図るべきである.また,大学教育にも問題があり,獣医師の一般教養の不足に原因がある旨指摘されている.今後,本問題に関する地方獣医師会の取り組み方について日本獣医師会としての方針を聞きたい.
(イ) 獣医師の倫理問題については,今後も全国への波及が予想され,本問題の解決には,卒後教育が重要と思われるが,産業動物では技術も含め,国の計画に基づき実施されているのに対し,小動物については個人の診療施設で行われるのが一般であり,獣医師法の改正等により努力規定から義務規定とするよう対応すべきである.
(ウ) 法令違反の獣医師については,農林水産省から通達は出されたが,地方自治体では小動物臨床に対する取り組みは稀薄であり,獣医療法の違反を自治体に連絡しても,口頭で注意するに止まってしまう.
これに対し,大森専務理事から,一昨年の地区獣医師会連合会長会議で了承された,「狂犬病予防注射事業の対応等について」(本誌第56巻第2号116頁参照)により狂犬病予防注射の取り組みに対する考え方等が説明された後,辻副会長から,非会員である獣医師の倫理問題については,ケースバイケースで対応を図るが,まず,地方獣医師会への入会を促すことで解決の糸口とすることも必要である.法令違反を犯してまでも営利を優先する風潮があるが,法律の遵守は社会生活の根底にあるものであり,厳しい取り締りと,会員としての指導による解決が必要である.
 また,狂犬病予防注射は,国家防疫であるが,地方自治体が対応困難なため,地方獣医師会に委託しているのが実情である.集合注射料金については,地方獣医師会の意見を聞くこととされており,一個人の獣医師の料金に左右されるようなものではない.
 なお,卒後研修については,小動物獣医療は,一部を除き,個人開業獣医師の診療施設での研修のみで,産業動物のような農水省の指定の施設はない.農水省との打合せでは,今後,小動物についても,一定のプログラムにより研修を行う必要があること,また,法令違反獣医師への指導についても,地方自治体の対応が不十分である現状を指摘し,その改善を要請した旨回答された.
イ. 狂犬病予防対策に関する事項についての意見
(ア) マイクロチップは,当県では無料で実施しているが,中々普及していない.JKC,民間のペット保険制度等との連携や,法律で強制するのでなく,人のために行っていることを広報し,料金等も必要経費だけにすれば社会に理解され,普及が推進される.
(イ) マイクロチップについては,このたびの検疫制度の改正により,海外に渡航する際,集合注射を受けた犬であっても,マイクロチップが注入されていなければ,再度,予防注射をする必要があると聞いた.抗体チェックの時点でマイクロチップの注入による個体識別を行えば十分と思われる.
 
3.平成16年度における関係省庁要請活動の件
(1) 大森専務理事から,平成16年度における農林水産省,厚生労働省,文部科学省及び自由民主党環境部会あて要請活動について説明された.
〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉
(2) 以上の説明に対して,大要次の質疑応答,要望事項が提出された.
ア. 自民党の「動物の愛護及び管理に関する法律」改正事項に記載されている「危険動物に対する個体識別措置」とはどのような方法を考えているのか.
 これに対し,大森専務理事から,同法では,飼い主責任の徹底,遺棄の防止等が規定されているが,危険動物についても,個体識別による飼い主の明確化が重要であるとの観点に立ったもので,マイクロチップ等の注入は基本的に獣医師が行うことが想定されているので,診療獣医師の可能性なかぎりの協力が求められる旨回答された.
イ. 厚生労働省あて要請活動の中で,「動物管理センターの機能強化と関係機関の連携強化」を要請されたが,センターの建築費,維持費,整備補修費等については,地方自治体での財政事情を考慮し,国からの助成が得られないか.
 
4.小動物医療体制整備検討の件
(1) 辻副会長から,小動物医療体制整備検討について,次のとおり説明された.
〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉
(2) 質疑応答として,動物医療補助者の呼称について質疑があり,これに対し,大森専務理事から,呼称については,現在,関係団体において区々である.本会の資料においては「動物看護士(AHT)」としているが,これは,本会が平成元年に小動物委員会の中に「動物看護士制度検討会」を設置し,基本的考え方を整理したことに始まり,このような呼称としている.平成15年度の小動物委員会報告の中でも整理したとおり,動物看護士のあり方については,その役割,法的位置づけ,資格制度とともに,その養成のあり方等について行政がどのように判断していくかが求められるところであり,今後,農水省の「小動物獣医療に関する検討会」での議論において見解が示される中で,自ずと呼称も定まることとなる旨回答された.
 
5.職域別部会の運営等の件
 大森専務理事から,職域別部会の運営等について次のとおり説明がされた.
〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉
 
6.関係省庁における平成17度予算・組織定員要求等の件
 大森専務理事から,関係省庁における平成17年度予算・組織定員要求等について,資料に基づき,説明が行われた後(〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉),関連して,6月に施行される「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」について,許可動物を飼育する際は,それが認識できるようマイクロチップ,タグ,足輪,標識など生物に応じ技術的可能な方法での個体識別を行うととされており,マイクロチップは哺乳類,鳥類,爬虫類等に義務化されるため,環境省では,この注入については原則的に獣医師が対応するとの想定で,現在,獣医師の関与についてのアンケート調査を行っている.また,日本動物保護管理協会が環境省から委託を受け,この技術面での方法等についてのマニュアル作りの検討を行っている旨報告された.
 
7.平成17年度日本獣医師会三学会年次大会の件
 大森専務理事から,平成17年度日本獣医師会三学会年次大会について,次のとおり説明された.
 〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉
 
8.新潟県中越地震被災動物救護対策の件
 大森専務理事から,新潟県中越地震被災動物救護対策の実施状況に関して説明された後,新潟県獣医師会小林副会長から,被災に際しての地方獣医師会等からの支援とあわせて,平成16年度三学会年次大会への参加協力に対するお礼が述べられた.
 〈本誌第58巻第2号73頁(平成16年度第3回理事会議事概要),同第4号216頁(平成16年度地区獣医師会連合会長会議事概要)と同様〉
 
9.日本獣医師会獣医師倫理規程集整備の件
 大森専務理事から,日本獣医師会獣医師倫理規程集整備について次のとおり説明された.
 〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉
 
10.日本獣医師会獣医師生涯研修事業の件
 大森専務理事から,日本獣医師会獣医師生涯研修事業について次のとおり説明された.
 〈本誌286頁(平成16年度第4回理事会議事概要)と同様〉