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会議報告

平成16年度地区獣医師会連合会長会議の議事概要

| .日 時: 平成17年2月21日(月) 14:00〜17:00
|| .場 所: 日本獣医師会・会議室
||| .出席者:  
会 長: 五十嵐幸男
副会長: 金川弘司,辻 弘一
専務理事: 大森伸男
地区獣医師会連合会会長・副会長:
北海道地区: 田村誠朗(北海道獣医師会副会長)
東北地区: 小玉久男(東北獣医師会連合会会長・秋田県獣医師会会長)
勝見 晟(東北獣医師会連合会副会長・山形県獣医師会会長)
関東地区: 百田久光(関東地区獣医師会連合会会長・山梨県獣医師会会長)
中川秀樹(関東地区獣医師会連合会副会長・横浜市獣医師会会長)
東京地区: 山村欣三(東京都獣医師会副会長)
中部地区: 近藤信雄(中部獣医師会連合会会長・岐阜県獣医師会会長)
杉山俊一(中部獣医師会連合会副会長・静岡県獣医師会会長)
近畿地区: 小島秀俊(近畿地区連合獣医師会会長・兵庫県獣医師会会長)
野田周作(近畿地区連合獣医師会副会長・大阪府獣医師会会長)
中国地区: 白石清則(中国地区獣医師会連合会会長・島根県獣医師会会長)
藤井 晋(中国地区獣医師会連合会副会長・岡山県獣医師会会長)
四国地区: 山崎 勝(四国地区連合獣医師会会長・愛媛県獣医師会会長)
九州地区: 麻生 哲(九州地区獣医師会連合会会長・大分県獣医師会会長)
大山英隆(九州地区獣医師会連合会副会長・鹿児島県獣医師会会長)
オブザーバー:
東北地区: 利部征夫(秋田県獣医師会事務局長)
中部地区: 太田友三郎(静岡県獣医師会常務理事)
|V .議 事:  
【報告事項】  
1. 平成16年度地区獣医師大会・学会の開催状況及び平成16年度日本獣医師会学会年次大会開催の件
2. 平成16年度地区獣医師大会における決議要望事項に対する対応の件(関係省庁等に対する要請活動実施状況を含む)
3. 関東地区獣医師会連合会・東京都獣医師会からの問題提起(最近の小動物医療を巡る課題と対応の方向)の件
4. 職域別部会制の運営等の件
5. 日本獣医師会獣医師倫理規程集整備の件
6. 新潟県中越地震被災動物救護対策に関する件
7. 平成17年度日本獣医師会三学会年次大会の件
8. 日本学術会議・日本獣医師会合同公開シンポジウム「狂犬病の防止に向けて」の開催の件
9. そ の 他
V .概 要:  
【会長挨拶】
 冒頭,五十嵐会長から大要次の挨拶があった.
(1) 地区大会・学会の開催については,各地区の地方獣医師会に大変ご尽力をいただき,また,先般の学会年次大会も新潟県獣医師会はもとより,全国の獣医師会のご支援により無事終了したことに感謝申し上げる.
(2) 要請活動としては,各地区獣医師大会からの决議要望事項等について整理し,2月に農林水産省消費・安全局長及び厚生労働省健康局長に対して,要請を行った.
(3) 農林水産省では,10月を目途に衛生管理課を動物安全課及び動物衛生課再編すると聞いている.
(4) 「動物の愛護及び管理に関する法律」の見直しについては,所管の環境省をはじめ,自民党等でも検討されており,本会からも役員が出席して意見している.
(5) 先般発表されたペットフード工業会の調査では,犬の飼育率が18.8%(1,246万頭),猫が15.1%(1,164万頭)で,猫が初めて1千万頭を超えた.これは愛玩動物に対する理解が深まっているものと思われる.

【座長就任】
 続いて,五十嵐会長が座長に就任し,次のとおり会議が行われた.

【議  事】
 
1.平成16年度地区獣医師大会・学会の開催状況及び平成16年度日本獣医師会学会年次大会開催の件
 大森専務理事から,本年度の地区獣医師大会・地区学会については各地区獣医師会のご尽力により無事終了したこと,また,平成16年度の学会年次大会についても地元新潟県獣医師会が被災復興活動の中で尽力され,1,800名の参加を得えて終了したことが説明された.
 
2.平成16年度地区獣医師大会における決議要望事項に対する対応の件(関係省庁等に対する要請活動実施状況を含む)
(1) 大森専務理事から,今回,7地区において提出された決議要望事項については,項目ごとに整理し,対応の考え方として【別紙1】のとおり取りまとめたことが説明された.
(2) 引き続き,大要次のとおり質疑応答が行われた.
ア. 予防注射の接種率については,厚生労働省とペットフード工業会の数値には大きな差があり,50%以下との見解には十分留意すべきであると思われる.
 これに対して,大森専務理事から,厚生労働省は登録100%という見解に基づく接種頭数であるため,70%を超える.工業会についても,全戸調査でなく,抽出調査であるが,この方が実態を反映していると思われる.その根拠として,昨年厚生労働省に設置された,狂犬病に対する研究班が,報告書の中で,犬の飼育頭数のベースを工業会の抽出調査の数値を採用し,50%以下である旨記載していることからも,実質的な数値と理解している.
 なお,昨年の調査でも犬猫ともに増加しており,犬が1,245,5千頭,猫は1,163,6千頭であることが回答された.
イ. 接種率については,登録はしても死亡の際の届け出は行わない飼い主が多く,実際の登録数は少ないと理解してよいと思われる.
 これに対して,辻副会長から,現場では50%以下とは考えにくい.工業会の調査もペットフードの需要量を目的とした調査であり,一つの目安と考える.今後,小動物医療にとって重要なデータとなることからも,正しい数値を導けるよう検討する必要がある旨が説明された.
 
3.関東地区獣医師会連合会・東京都獣医師会からの問題提起(最近の小動物医療を巡る課題と対応の方向)の件
(1) 辻副会長から,小動物医療に関しては,メディアを通じてブームとなり集合住宅での動物飼育もほぼ社会的合意を得,ペット飼育がマンションの付加価値となった今日,動物と人とのかかわり方について,動物が家庭,社会にとって必要な存在として定着してきたものと思われ,明るい傾向と考える.
 しかしながら一方では,例年千名の獣医系大学卒業者のうち半数が小動物診療志向なため,過当競争に拍車をかけ,また,自由競争の名の元に,量販店が臨床経験の少ない獣医師を配置し,生体販売の他,予防獣医療を各地で展開し,さらにインターネットによる動物用医薬品の販売が拡大する等,厳しい将来が予想される.
 このような現状について,昨年12月11日,関東地区及び東京都獣医師会で協議を行ったが,これは関東,東京だけの問題でないことから,全国の獣医師が意識を共有するとともに,今後の対策の一助となるよう本会議で提案することとした(【別紙2】).
 予防獣医療は重要であるが,街中の薬局がドラックストアに移行したように今後,これに依存し続けることは危険である.予防薬は利益率が高い,既得権益として定着しているが,今後,本来,獣医師が必要とされる診断力,技術力を高め,質のよい獣医療が提供されるべき旨説明された.
 さらに,中川会長から,倫理問題については,大学教育及び生涯教育を通じて,啓発を行うこが重要である旨補足説明がされた.
(2) 引き続き,大要次のとおりの質疑応答が行われた.
 獣医師倫理に反する獣医師は,会員外のようだが,従来は,狂犬病予防注射事業が新卒獣医師の入会促進に繋がっていたものの,市町村の事務移管により状況は変化し,また,過当競争下では,倫理が軽んじられる傾向にある.構成獣医師であれば組織の中での指導等も可能であるがこのような現状では困難を極める.
 これに対して,辻副会長から,このような獣医師が構成獣医師となることで,指導,監督し,問題解決に導くことを思慮しているが,若い世代も先の利益を優先する傾向にある.一獣医師として開業しても,社会は何ら評価しない.公益団体が公益事業を行うことにより社会評価を得,社会的地位が高まり,目に見えぬ莫大な共益を得ることとなる.現在,2万6千もの団体が,国策として公益活動を行い,各職域に関する要請活動等を経て,等しく利益を享受していることを理解させ,入会を促進させる必要がある旨説明された.
 
4.職域別部会制の運営等の件
(1) 大森専務理事から,本件については,昨年12月の理事会を経て,職域別部会運営規程が制定され,運営の考え方を示すとともにこれまでの議論のお礼及び今後の円滑な運営についての協力を依頼した(本誌第57巻第2号79頁参照)旨報告された後,部会制のフレームワーク,部会制の構成が説明された(【別紙3】及び【別紙4】).
(2) 引き続き,大要次のとおりに質疑応答が行われた
質疑応答として,
ア.小動物臨床部会の部会長の推薦母体は,9地区の地区連合会会長も含まれているが,地方獣医師会における人事異動の時期等,選任の時期が難しい.
 これに対して,大森専務理事から,時期的には地区理事を選任する際にあわせて協議いただきたいことが回答された.
イ.部会長の全国的な視野から選出は難しい面がある.選挙管理委員会による候補者の検討,また,すべての候補者が,部会の役員に就任することを前提で,互選による選任とすること等も考慮いただきたい.
 これに対して,大森専務理事から,職域理事の推薦については,多くの地方獣医師会の要請もあり,部会制の発足を契機に地区の連合会からも推薦いただくことなったもので,全国を区域とすることとした点は従来どおりである.本会会長,副会長と同様に全国を区域とするということで理解いただきたい.また,規程を定めている以上,選挙管理委員会による候補者の選任はできないが,候補者となられた方が部会の委員の役職に就任いただくことは妨げられていない旨回答された.
 
5.日本獣医師会獣医師倫理規程集整備の件
(1) 大森専務理事から,獣医師の倫理綱領というべき「95年宣言」,さらに一昨年制定された動物臨床の行動規範である「小動物医療の指針」,昨年11月新たに制定された「産業動物の指針」に「インフォームド・コンセント徹底宣言」関係資料及び関係法令等を加え,「日本獣医師会獣医師倫理規程・関係資料集」として編集した.これは地方獣医師会へ送付し,周知を依頼するとともに,本会ホームページへの掲載及び日本獣医師会雑誌3月号に同封する予定である.また,学術・教育・研究委員会における獣医学教育課程の専門カリキュラムの検討において,大学における倫理教育の重要性を強調されていることからも,あわせて獣医系大学関係学部長あて大学教育課程における倫理教育教材としての活用を依頼した.今後,地方獣医師会長におかれても,研修会,講習会のテキストとして活用いただくとともに大学,関係機関等でのへの広報等を依頼したい旨説明された.
(2) 質疑応答として,多くは未加入の獣医師が倫理問題を起しており,原則的に獣医師を教育する獣医系大学の再編の機会に,獣医師倫理をカリキュラムに盛り込むよう働きかけてほしい旨要望が出された.
 
6.新潟県中越地震被災動物救護対策の件
(1) 大森専務理事から,大要次のとおり経過と現況等が報告され,最近の活動状況について次のとおり報告された.
ア. 12月1日:日本獣医師会では自由民主党環境部会動物愛護小委員会に出席し,現地新潟県獣医師会の活動状況を報告した.
イ. 1月19日:地元では,新潟県中越大地震動物救済本部(本部長:布施康正新潟県獣医師会長)を,新潟県獣医師会内に設置,従来の現地活動に加え,新潟県中越地震動物救済仮本部(構成団体:新潟県獣医師会,新潟県動物愛護協会,緊急災害時動物救援本部,新潟県(福祉保健部生活衛生課))を移管した.
ウ. 義援金については,新潟県獣医師会「中越地震被災動物救護活動義援金」に1,400万,新潟県中越地震動物救済仮本部「新潟県中越地震動物救済基金」に3,200万程度の寄付がなされたと聞いているが,新潟県獣医師会から各地方獣医師会へ支援に対するお礼を依頼されている.
(2) 関連して金川副会長から,2月16日にアジア地区獣医師会連合会の役員会に出席した際,五十嵐会長から昨年のスマトラ沖地震による津波の被害状況についてFAVAのメンバー国の被害状況を確認するよう依頼した旨が報告された.
 
7.平成17年度日本獣医師会三学会年次大会の件
(1) 大森専務理事から,平成17年度の三学会年次大会については,過去,東北地区,北海道地区での日本獣医学会学術集会との連携開催をふまえ,同様な形での中央段階における連携開催について,11月1日の三学会会長副会長会義で検討され,12月8日の第3回理事会での承認,さらに2月12日日本獣医学会関係者との協議を経て,同時・同一場所,合同企画,相互乗り入れ方式により開催することとされた.会期は本会が3月18〜20日,学術集会が19〜21日,会場をつくば国際会議場とし,内容は,本会が臨床系,獣医学会が基礎,研究系を基調としているが,この双方の特色を生かした合同企画を売りに,一方の登録により双方に参加可能として,地元茨城県獣医師会とも連絡を取りつつ運営したいので,各地方獣医師会におかれても参加の広報をお願いしたい旨が説明された.
(2) 引き続き,大要次のとおりの質疑応答がされた.
ア. 参加費は,双方同額とするのか.
 これに対して,大森専務理事から,本会年次大会の参加費は現時点では従来どおり考えているが,獣医学会の参加費については検討中と聞いている.
イ. 今後,獣医学会との連携開催を継続していくのか.
五十嵐会長から,実施状況を見ながら,意見を伺い,将来の展望を見据えて考えたいことが回答された.
 
8.日本学術会議・日本獣医師会合同公開シンポジウム「狂犬病の防止に向けて」の開催の件
(1) 大森専務理事から,狂犬病の重要性に鑑み,日本学術会議と連携して3月15日,学術会議にてシンポジウムを開催することとなった.東京であるが地元でも参加の広報を依頼したい旨説明された.
(2) 質疑応答として,市町村へ狂犬病予防の集合注射の広報を依頼しても,4月は多忙との理由で断られており,市中村への事務移管によりこのような影響も出ている旨の発言があり,これに対して,五十嵐会長から,県,市町村,地方獣医師会が一体となって対応されるよう,本会も協力したい旨回答された.

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