短 報

ルチンによる治療が奏効した特発性乳糜胸の猫の1例

加藤友香1)  浅野和之1)†  並木 誠2)  久楽賢治1)
佐々木由枝1)  手島健次1)  枝村一弥1)  田中茂男1)

1)日本大学生物資源科学部(〒252-8510 藤沢市亀井野1866)
2)千葉県 開業(〒264-0004 千葉市若葉区千城台西1-12-15)

(2004年4月16日受付・2004年8月30日受理)

要   約

 特発性乳糜胸と診断された猫に対し,高用量ルチン療法(500mg,1日3回,経口投与)による治療を行った.治療開始後,胸水量は徐々に減少した.さらに29日後にルチンの1日投与量を1,500mgから2,000mgに増量したところ,治療開始後150日目には胸水貯留がほとんど認められなくなり,最終的に治療開始後450日目にルチン投与を中止することができた.現在,治療開始後約2年を経過したが,胸水の貯留や臨床症状は認められていない.以上の結果から,猫の特発性乳糜胸に対して高用量ルチン療法が有効である可能性が示唆された.
―キーワード:猫,特発性乳糜胸,ルチン.
------------------------------日獣会誌 58,54〜57(2005)

 

† 連絡責任者: 浅野和之
(日本大学生物資源科学部獣医学科獣医外科学研究室)
〒252-8510 藤沢市亀井野1866 TEL・FAX 0466-84-3641