会議報告


〔環境省自然保護局 小野寺 浩局長〕
 こんにちは,環境省の小野寺でございます.獣医師会会員の皆様には大変お世話になっております.湾岸戦争の際の重油にまみれた水鳥等の救護のために獣医師を派遣していただきましたし,また全国で傷ついた野鳥,野生生物の治療等,都道府県獣医師会におかれても,各行政へご支援をいただいているところであります.中川局長のご挨拶にもありましたとおり,本年3月は鳥インフルエンザの発生により大変な事態となりました.私も当初は中川局長のお任せしておりましたが,徐々に渡り鳥からカラスへと問題が波及し,これは当局の所管となり取り組むこととなりました.その際の現地の野鳥,あるいはカラスやハトのウイルスの保有の分析にいては,全国的な展開で,獣医師会,各獣医師,研究分析機関にご支援いただいたき,科学的な分析を進めることができたのも,これらに携わった獣医師会の会員の方々のお陰だと思い,心より感謝いたしております.
 また,本年6月の通常国会においては,外国から輸入された動物等による日本の生態系の破壊を防ぐための法律,いわゆる外来種法が,農林水産省と環境集の共管の法律として成立いたしました.これに伴い,今後,現場でまん延している外来生物の駆除方法や,国際空港の税関等での水際対策について,今後とも,獣医師会,あるいは各地域の獣医師の方にご意見等をいただきながら,対応する必要があると考えております.
 それから,平成13年1月環境庁から環境省へ再編される際,それまで総理府が所管していた動物の愛護及び管理に関する法律,いわゆるペットに関する法律が,私どもの自然環境局の管轄となりました.野生生物を扱ったことはありますが,ペットについては環境庁の設立以来30年の間,取り扱ったことはなく,戸惑いながら対応してまいりました.先ほどの中川局長のご挨拶にもありましたように,ペットについては,これからますます社会的役割,その関心が高まってくると思われ,鋭意スピードをあげて勉強をしているところであります.
 具体的には,私どもの局の中に「動物愛護管理に関するあり方検討会」を設けまして,今年2月から検討を進めておりますし,北村先生が委員長である,自民党の環境部会のペット問題の小委員会においても,今,鋭意検討,分析を始められたところであります.制度改正も含めて早急な取り組みをしておりますが,非常に広範な範囲である一方で,非常に哲学,あるいは社会学的な問題を含むテーマでありますので,お時間をいただくこととなるやもしれません.これについては,かなり具体的な提言を示すことを念頭に,北村先生とも相談しながら作業を進めてまいりたいと思っております.
 われわれ,動物,あるいは生物を扱う官庁として,今後ともこの獣医師会との関係はますます緊密になると思っております.また,改めて正式に日本獣医師会,あるいは地方獣医師会へご相談にお伺いしたいと存じますが,今後とも,ご協力いただくことをご依頼申しあげ,私のご挨拶に代えたいと思います.どうもおめでとうございました.


〔社団法人中央畜産会 中瀬信三副会長〕
 ただいまご紹介にあずかりました,中央畜産会副会長の中瀬でございます.本日は,第61回の通常総会にお招きをいただきまして誠にありがとうございました.このように総会が盛大に行われますこと,開かれますことを,畜産諸団体を代表いたしましてお祝いを申しあげ,ご挨拶を一言申しあげたいと思います.
 この総会と申しますと,私どもの中央畜産会も先週の18日に総会を開催させていただきました.私どもの会の会長,山中貞則はさる2月20日に逝去しました.今回の総会はその後初めての総会ということでありまして,ここにおられます五十嵐会長にも常務理事としてご出席をいただきまして審議を行ったわけでございますが,残念ながらこの会におきましては,予定しておりました山中会長の後任会長を選任するということは,いろいろ期が熟さないということもございましてできなかったということもございますが,いずれにいたしましても総会を乗り越えたということでございます.
 このようにいろいろなことが起こるわけでございますが,最近は何かにつけて山中会長の思い出,会長だったらどうされるのかなというようなことを考えるわけであります.思い返しますと,山中会長は常々,日本獣医師会と中央畜産会は車の両輪のようなものである.畜産振興にこの両会がともに手を携えて取り組まなければならないということを言っておられました.この精神は,先ほど五十嵐会長がご紹介されましたように,今,会長代行をしております檜垣会長にもその思想が伝わっていると,中央畜産会はそういう気持ちで今後もやるということを言明しているということでございますので,よろしくお願い申しあげるわけでございます.
 現在,畜産業界が置かれている状況を見ますと,こういった山中会長,あるいは最近檜垣代行が言いますように,そういった言葉がまさに成功を得たものであるということをつくづくと感ずる次第です.最近の家畜衛生面の出来事を振り返りますと,口蹄疫の発生,それに続きますBSEの発生,それから高病原性鳥インフルエンザなどなど加えまして,今後再侵入が懸念されております狂犬病の問題などもありましょう.諸外国との物流や人の交流がますます大きくなるということを考えますと,防疫をはじめといたしました獣医分野の重要性というものは,今後ますます増大していくことは明らかであろうと思います.
 一方,畜産の現場を見てみますと,飼養規模の拡大化,巨大化というものが進んでおりますことはご承知のとおりでございます.そういった状況下におきまして,ひとたび悪性の疾病が侵入いたしますと,畜産経営は大きな打撃を受けるという構造になっているわけでございます.卑近な例では,先般の高病原性鳥インフルエンザの発生の際は,獣医の皆様の献身的な努力によって鎮静化いたしました.誠にご同慶の至りということを感じますが,畜産経営には直接的に非常に大きなダメージが与えられました.まさに山中会長が指摘しているような状態,この畜産経営と獣医の活躍といったものが,まさに車の両輪として働かなければならないという状態がここに生まれてきたわけであります.
 このような疾病の発生によりまして畜産経営が大きく揺らぐということに加えまして,最近のこの社会現象を見てみますと風評被害と申しますか,消費者に与える畜産物に対する不安感を払拭するということだけに,ものすごいエネルギーと努力が必要とされるということでありまして,こういった面にわれわれも大いに,絶えず注意を払っていかなければならないというように考えます.
 最近の話題では,何といってもBSEが非常に大きな問題になっております.先ほど厚生省の部長さんからもご紹介にあったとおりでございまして,今日米協議が行われ,一日も早い常態の復帰が望まれるわけではございますが,しかしやはり,この問題の底にある基本的な線というものをわれわれはよく噛みしめて,確保すべきものは確保する.安全性が担保されるまでは基本的な飼養を堅持すべきだろうということを改めて感じさせられるわけであります.1日も早く原因が究明され,適切な対応が取られるということが期待されるわけであります.
 そのほか最近の畜産,あるいは畜産行政,畜産技術をめぐる問題は山積しております.皆様それぞれの場でこのご体験をされていると思いますが,私ども最近考えますいくつかを拾ってみますと,まず畜産物に対する消費者の不信感を早急に取り戻す対策,この決め手といたしまして牛のトレーサビリティ法が施行されました.これはと畜場段階までをカバーするものでございますが,今年の暮れにはこれを流通段階まで広げるということであります.生産段階から流通全般にわたるこの生産流通情報を提供して,この食の安心,安全を与えるという実行をあげていただくということが重要だと感じます.
 ほかの問題といたしましては環境問題がございます.平成11年に施行されました家畜排泄物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律というものが,5年の期限を経ましてこの12月にはいよいよ期限切れ,違反した場合には罰則が適用されるということになるわけです.残された期間は短いのですが,万全の措置を取るように,今,一生懸命関係者はやっています.皆様におかれましても,現地でご指導なさる際に,よろしくご指導,ご支援のほどをお願い申し上げたいと思います.
 そのほか大きな問題といたしましては,新しい農業基本法に定められる基本計画を5年ごとに見直すという作業が今,行われております.新基本法で市場原理を導入するということで華々しく打ち出されている基本計画.これがやはり5年のうちに様変わりする面もあるわけでございまして,新しいこの体制はいかに組まれるべきか.これが今検討されているわけでありまして,私どももこれを注目しながら,この新しい計画に即応した体制を組みたいと思っているわけでございます.
 また貿易関係では,ご案内のようにWTOの農業交渉においては,多角的,あるいは二国間の交渉がどんどん進められる態勢にありまして,先行き誠に不安な面もあるわけでございますが,この件につきましても考え方といたしましては,やはりわが国の安全と農業を守るという気概をはっきりと持ちました.食料の相当程度の自国内での確保は必須なものであるという気持ちを新たにし,基本的なそういったラインは譲るべきではないというふうにかく考える次第であります.農畜産物は国際的な戦略物資でありまして,わが国の国益を損なうことがないように,また将来に禍根を残すことがないように対処していくということが必要だと,つくづく感じさせる昨今でございます.
 その皆様のご関係の問題といたしましては,従来は獣医の技術,診療,公衆的なことが話題になりましたが,今日もご挨拶される皆様が言われることはやはり小動物,ペット問題だろうと思います.今までの獣医の皆様にご活躍いただいた分野に加えまして,この問題は教育文化の分野にも皆様の活動が広がっているということを象徴し,それがまた期待されている昨今ではないかというふうに思います.先般の鳥インフルエンザの発生の際には,幼稚園や学校で飼養されている鳥類の取り扱いにつきまして,いち早く的確な情報を皆様獣医師会においては発信されました.誠に迅速な対応であったと私ども敬服しているところでございます.コンパニオンアニマル,あるいはペットは,人々の潤いの生活にはもはや欠かせないものになっております.昔言っておりました愛玩動物という言葉では語りつくせない意味と広がり,重要性といったものが出てきていると思います.
 とりわけ,最近の殺伐たる世相を見ますと,子供の頃から動物を飼うという体験は,子供たちの健全な精神形成といったことの基礎になっている重要なものだろうと思います.こういった分野におきます技術的な指導とか分析は,まさに獣医の皆様の活躍の独壇場ではないと思います.ご検討をお祈りしたいと思います.
 畜産をめぐる情勢をいろいろ申し上げましたけれども,必ずしも明るいものばかりではございませんが,山中会長であればこのようなときにどのようにするかなと,先ほども申しましたように,私どもいろいろ考えさせられるわけでございます.私どもにできることは,やはりできることを精一杯やっていくと,これしかないのではないかと思います.これがまた,私ども中央畜産会の今後の活動の基本的な考えであり,これがまた山中会長の鎮魂につながるのではないかと考えながら,また獣医師会の皆様と手を携えて頑張っていきたいと思っております.
 今後の獣医,衛生関係者に求められるニーズは誠に大きなものがございますし,ますます重要性を増していくと思われます.日本獣医師会の役職員の皆様が一丸となって,国民の生活の安定と発展に貢献されますよう祈念いたしまして,粗辞でございますが,ご挨拶とさせていただく次第でございます.本日の総会,おめでとうございました.


〔社団法人日本獣医学会 佐々木伸雄理事長〕
 第61回総会にあたりまして,一言ご挨拶を申しあげさせていただきます.昨年もご挨拶の中でお話し申しあげたのですが,この数年,日本獣医師会と日本獣医学会,獣医界の非常に大きな二つの団体が,もう少し連携を密にして日本の獣医界に貢献しようではないかとの観点から,昨年初めて青森県,あるいは東北地区の各獣医師会の先生方に大きな協力をいただきまして,青森市で獣医学会と東北地区三学会を連携し,同じ場所で,日時を重ね開催させていただきました.これについて,まず厚く御礼を申しあげたいと思います.
 これは最初の試みでありましたが,今後とも,継続したいということで,今年の秋には北海道地区の獣医師会の先生方にご協力いただきまして,北海道大学で北海道地区の獣医師会と日本獣医学会を連携して開催するという予定になっております.
 このような連携の背景には,双方の団体の組織形態から申しあげると,一つは,日本獣医師会が全職域の獣医師を束ねる会であり,産業動物,小動物,公衆衛生等,それぞれの分野の現場で活躍されている先生方の代表団と考えられます.一方,日本獣医学会は,総数約4,000人といった学会でございますけれども,これは日本獣医師会の会員である先生が非常に多いのですが,獣医科学,あるいは実際の各大学での教育現場を背景にもつ団体であると考えております.ただいま北村先生の話にありましたように,われわれは単純に研究だけをすればよいというような学会であってはいけません.各獣医学の分野は非常に多様化しておりますが,やはり現場に根ざした対応,研究を進めるということが日本の獣医界にとって非常に重要であると思われます.以上のようなことが,双方が連携を進めることとなった動機であり,昨年のスタートがまず第一歩でございまして,現在,これからの継続について考えているところでございます.
 そのいっぽうで,先ほど来,五十嵐会長,あるいはご来賓の先生の話にもありますように,この数年は特にBSEをはじめとしたさまざまな感染症の問題が発生し,それぞれ獣医師の活躍が広く報じられております.しかし,他のさまざまな分野も含めまして,国民にわれわれ獣医師の活動がどれほど理解されているかという点に立ち返りますと,やはりまだ私は不十分である気がしてなりません.やはり,われわれが日本の獣医界が国民から広く認識されて,「やはり獣医さんはこれだけの活動をしている」,「このような研究もしている」ということを理解いただき,認識されることが,これから獣医学を志す人間にとってはぜひ必要な環境であろうと感じております.
 このようなことも含めまして,われわれとしてはこの連携のスタートに当たり,次のステップは,ぜひ後方活動として情報をいかに発信すべきか検討する必要があると思われます.これまでも良好に情報発信されていますが,さらに広く,日本獣医師会の現場サイドから,また,個々の構成獣医師から,さらには日本獣医学会と連携して研究分野,学問分野からも発信し,これから広報活動を展開していくことが,次の大きな目標になるのではないかと考えております.
 以上,今後とも,われわれとしては日本獣医師会とより深く密接な関係をもってさまざまな活動をしていきたいと思っておりますので,何卒よろしくお願い申しあげます.簡単ではございますが,本日の総会にあたりましてご挨拶とさせていただきます.どうもありがとうございました.おめでとうございます.

≪来賓の紹介≫(略)

≪日本獣医師会会長感謝状贈呈≫
 五十嵐会長から日本獣医師会会長感謝状が次のとおり授与された.
(1)平成15年度学会年次大会関係:社団法人横浜市獣医師会
(2)獣医師総合福祉生命共済事業への積極的な加入推進:社団法人茨城県獣医師会ほか,19地方獣医師会


≪獣医師会職員永年勤続表彰≫
 五十嵐会長から,30年勤続及び20年勤続者5名対し,獣医師会職員永年勤続表彰状及び記念品が授与された.


≪議長・副議長選出≫
 五十嵐会長が仮議長となって議長,副議長の選任方法を諮り,「仮議長一任」の声により,五十嵐会長が,熊本県獣医師会・穴見盛雄会長を議長に,神戸市獣医師会・市田成勝会長を副議長に指名し,それぞれ議長,副議長に選任された.


≪議長・副議長就任挨拶≫
 議長,副議長から,それぞれ議長,副議長就任ならびに本総会の円滑な議事運営について会員の理解,協力を得たい旨の挨拶が述べられた.


≪議事録署名人の選任≫
 議長が,議事録署名人の選任について諮り,「議長一任」の声により,議長から議事録署名人に日本獣医師会・五十嵐幸男会長理事,長野県獣医師会・菅沢吉登会長ならびに山口県獣医師会・中間實徳会長がそれぞれ指名され,選任された.