(ア) |
狂犬病予防対策に関する事項
[1] |
平成15年度の厚生労働省に対する要請においては,A.平成14年度の厚生労働省通知による「狂犬病予防法に基づく犬の登録等の徹底について」に基づき都道府県が代表して市町村事務を含めた狂犬病予防業務の調整を図るよう自治体に対する指導強化,B.犬の登録制度におけるマイクロチップによる個体識別の導入を求めたところである. |
[2] |
各地の獣医師会における狂犬病予防注射事業については,前記の通知の趣旨を踏まえ,地区獣医師会連合会会長会議において,本会が取りまとめた「狂犬病予防注射事業の対応等について」に基づき,協議のうえ,同対応案を平成14年12月13日付け14日獣発第188号により通知したところであり,同対応案の趣旨に沿ってそれぞれ地方獣医師会の実情に即した事業への取組体制をはじめ,組織整備,行政対応を図っていく必要がある.
また,本件に関連し,一部の地方獣医師会及び地区獣医師会連合会から要請のあった獣医師の法令違反等の倫理問題等の対応については,関係する地方獣医師会により「狂犬病予防注射事業等に関する関係地方獣医師会協議会」を開催する等して検討を行ったところであるが,その検討結果等に基づき,農林水産省に対して地方自治体による指導の徹底等を要請した結果,平成15年11月,農林水産省から都道府県主務部長宛に,獣医師の関係法令遵守についての指導等の徹底とあわせ,違反事例については獣医師会等と緊密な連携をとり,当局への報告を行う旨,通知されたところである.
本件は,これまで都道府県での指導の不十分等が指摘されてきたが,国が指針を示されたことにより,今後,獣医師,獣医師会の姿勢の正し方が問われるとの観点から,さらなるご指導を依頼したい. |
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(イ) |
家畜保健衛生所の機能の拡充・強化についての考え方・対応等
家畜保健衛生所の今後のあり方については,家畜共済事業を含めた産業動物診療施設との連携や人と動物の共通感染症対策を推進するうえでの保健所,地域衛生研究所及び動物管理センター等との連携等の問題を含め,産業動物委員会等の場において,今後の方向性等を検討のうえ,所要の提言,体制整備に向けての要請活動に資する考えである. |
(ウ) |
小動物医療関係対策に関する事項についての考え方・対応等
(1) |
小動物医療施策の推進については,平成15年度において,農林水産省に対し,小動物医療対策を所掌する専門部署の設置について要請を行った.これを受けて同省においては,平成16年度に消費・安全局衛生管理課に小動物獣医療を担当する小動物獣医療班の設置が決定した. |
(2) |
小動物医療の高度化,適正化対策については,新規に設置される部署において所掌されることになると思われるので,本会としては,小動物医療体制整備の推進が図れるよう要請を行っていきたい. |
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(エ) |
動物愛護対策の推進に関する事項についての考え方・対応等
(1) |
平成15年度において,所要の体制整備について,環境省に対し,特に,A.都道府県等の動物愛護関係部署における獣医師専門職の配置,B.「動物愛護推進員支援のためのガイドライン」の策定,普及と都道府県における動物愛護推進員の委嘱及び動物愛護推進協議会組織化支援のための助成措置の拡充,及びC.マイクロチップを利用した動物の個体識別事業の支援等について要請活動を実施したところであるが,動物愛護対策は移入種対策とも関連することから,両者の整合性を確保しつつ対応すべきであることについても同省に要請したところである. |
(2) |
環境省においては,動物愛護法施行5年後の見直しについての検討が本格化してくると思われるが,本会としても,動物愛護福祉委員会を中心に,法改正が必要な事項等について検討を進めているところであり,その結果を踏まえて所要の要請活動を行っていくこととしている. |
(3) |
また,学校飼育動物については,平成15年度において,文部科学省に対し,A.教育委員会主導の下,地方獣医師会や都道府県家畜保健衛生所の連携による学校飼育動物の飼育指導体制の構築,B.大学の教員養成課程における学校飼育動物に関するカリキュラムの整備と教員に対する学校飼育動物に関する研修会・講習会の開催等について要請したところであり,また,学校飼育動物委員会を設置して,今後の対応について検討を行っているところである. |
(4) |
本件については地方獣医師会においても,動物愛護法に規定される推進協議会の設置及びその円滑な運営ならびに学校飼育動物の適正飼養に関する支援等について引き続き尽力されるようお願いする. |
(5) |
マイクロチップを利用した動物個体識別については,動物ID普及推進会議(AIPO)を推進母体として本会と動物愛護団体が連携して実施しているところであるが,地方獣医師会においても,地方自治体の運営する動物愛護関係部署におけるリーダーの設置及びデータ読み取りについて積極的な協力が得られるよう一層の働きかけをお願いする. |
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(オ) |
勤務獣医師の処遇改善に関する事項についての考え方・対応等
(1) |
平成15年度において農林水産省及び厚生労働省に対し,BSE対策の一環として検査業務に携わる公務員獣医師の業務環境の整備について要請を行ったところであるが,今後とも,家畜衛生職員会・全国公衆衛生獣医師協議会と緊密に連携しながら各都道府県等における情勢認識について意見交換を行うとともに,対応の方向性等について検討していくこととしている.地方獣医師会においても,それぞれ三者協議の場を設けて積極的に情報交換しながら対応していく必要がある. |
(2) |
なお,本件については,別途,日本獣医師政治連盟から,獣医師問題議員連盟に対し,公務員獣医師の処遇改善策として,A.獣医師職員の幹部ポストへの積極的登用とともに,B.医師等他の専門職公務員との処遇水準に均衡を欠くことのないよう待遇改善を要請したところである. |
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(カ) |
産業動物診療技術料に関する事項についての考え方・対応等
(1) |
平成15年度において,農林水産省に対し各種衛生対策事業における雇い上げ獣医師手当の額が医師等の医療専門職における水準と均衡を欠くことがないよう要請したところである. |
(2) |
デフレ環境下にある中で,技術報酬の引き上げについては厳しいものがあるが,地方獣医師会においても,各県家畜畜産物衛生指導協会と連携しながら,上部団体を通じての要請実現に向けて活動を推進願いたい. |
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(キ) |
災害時の動物救護対策の検討についての考え方・対応等
(1) |
災害時の動物救護マニュアルについては,平成15年度,本会と動物愛護4団体によって構成される「緊急災害時動物救援本部」からの要請を受け,(財)日本動物愛護協会において,環境省の理解を得て環境事業団から助成を受けて「緊急災害時動物救援マニュアル」が策定されたところであり,本書においては,動物愛護団体と獣医師会が協力して実施する災害時動物救護活動についての方針等が示されている. |
(2) |
なお,本件については,同マニュアルを参照のうえ,各地方獣医師会においてもそれぞれの地域の実態を考慮して具体的な対策を協議し,整備しておく必要がある. |
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(ク) |
獣医事関係の国際交流に関する事項についての考え方・対応等
本件については,本会もその意義を理解し,平成15年4月の第3回World Veterinary Dayにおいては,「The World Veterinary Day協会」が実施する催事について後援を行ったところである.この催しは,獣医師及び獣医療関係者の役割についての認識を高めることを目的として行われる世界的な行事であり,日本獣医師会としては,その推進について支援していく必要があると考えている. |
(ケ) |
開業部会に関する事項についての考え方・対応等
次の議題の中で協議したい. |