会議報告

ア. 提示した原案の基本的考え方について
《意見(要旨)》
[1] 提示された原案は,基本的に賛成
A. 部会運営に当たっては,部会関係委員を地方会から選出し,地方会の職域関係組織との連携を確保することにより,部会と地方会職域活動双方の活性化と発展を目指すべき
B. 部会制は,日獣の公益団体としての機能を発揮するうえで最も望ましい形として検討し,鋭意改革に取り組むことが必要.地方会の職域関係組織をはじめ,他団体との連携確保が必要
C. 部会を構成する構成獣医師の負担(部会費相当額)は,極力最小限のものとし,構成獣医師の立場を考慮した救済措置を講ずるべき
[2] 提示された原案は,条件付きで賛成
A. 説明資料が難解.会員への説明が容易ではない.まだ説明不足の点がある.今後とも十分な説明が必要
B. 部会制は,日獣への職域活動を集約させ,これを高めるためのものである.また,今後日獣が行政対応を推進していくうえで意義深く,賛成であるが,導入に当たっては,日小獣の日獣への発展的合併が実現するよう調整が必要
C. 大筋で了承するが,a.小動物部会については日小獣の意向を尊重 b.産業動物部会は,診療従事構成獣医師による構成等の配慮が必要
[3] 提示された原案は理解するが,導入に当たっては,地方会との議論を尽くし,原案の修正等を含め,条件整備を行うことが必要.なお,この場合,団体会員制は堅持すること.
[4] 提示された原案は,まだ地方会において合意形成にいたっていない.今後とも日獣における協議結果等を速やかに地方会に通知されたい.
[5] 部会制の導入は理解するが,さらに具体的内容を明確化した上で地方会との意見聴取を行う等により,地方会の実情を踏まえ時間をかけて論議することが必要
 導入に当たっては,地方会の合意形成を前提に,A.日獣の財政運営と部会制導入の関係,B.部会費相当額の水準と部会運営経費の執行,C.他団体(特に日小獣)との調整について理解を得たうえで導入することが必要
[6] 提示された原案による部会制導入は,時期尚早
 地方会における部会活動の現状をみると,55地方会で温度差が大きすぎる.職域別活動については,まず地方会,連合会単位での基盤強化を等しく図るのが先決である.また,日小獣との関係が調整されない中での部会制立ち上げは混乱を招きかねない.
[7] 提示された原案は,反対
 部会制の導入は,日獣の財政上の課題との論議のすり替えであり,A.日獣で議決されていない事項を独断で進める点,B.団体会員制の中での部会制である点,C.部会制導入の名を借りた会費値上げにほかならない点,D.日小獣との兼ね合い等があり,反対である.

《意見に対する考え方》
[1] 部会制の目的は,A.全国55の獣医師会により構成される公益法人の全国団体である本会と地方会との連携確保を基本に,B.獣医師が組織する他の職域団体,教育・研究機関等との連携・協力関係の中で,C.本会の各般の事業活動の効果的推進を図ることにより,動物医療の一層の社会評価と制度的課題の実現促進を目指すところにある.
[2] 一方,本会のこれまでの念願であった小動物医療を専任で担当する部署(班組織)が本会要請活動そして関係者の多大な尽力により,獣医師法令所管官庁の農水省に設置されることになっている.また,厚労省の医療関係部局には共通感染症対策所管室が,環境省には動物愛護管理所管室が整備されるとともに,BSE問題を契機とする食の安全確保のリスク評価部門として内閣府に食品安全委員会が設置されるにいたっている.動物医療の一層の公益確保と社会評価実現のため,制度的課題への対応を含め,なお一層の職域課題への対応強化が必要とされている.
[3] 本会と地方会との関係,すなわち団体会員制の枠組みの中で部会制導入の所期の目的が達成し得るよう,地方会の意見を斟酌,尊重しつつ組織整備を検討していきたい.
イ. 提示した原案の各論の考え方について
イ-1.地方獣医師会との関係
《意見(要旨)》
[1] 部会制導入にあたっての留意事項
A. 日獣の部会制導入は,地方会の職域関係組織や他団体の職域活動の機能との連携・充実を基本に推進する必要がある.地方会としては,部会と連携した対応をとることにより地方会の課題を日獣の場で論議し,それが日獣の力として実現することを期待する.
B. 団体会員制を基本に部会制を導入するとする以上,a.部会の運営に当たっては,地方会や連合会単位の職域組織をベースに,他団体の職域活動の機能との連携・充実を図ることを基本に進める必要がある.また,b.開業者のみを対象とした部会構成でなく,他の職域活動の整備についても等しく組織整備を図る必要がある.
 また,地方会としても部会の活動と連携した活動ができるよう地方会内部の職域組織の整備について対応する必要がある.
[2] 部会制導入の地方会・組織運営への懸念事項
A. 地方会の職域別組織と日獣の部会との整合性が難しい.
B. 部会制導入に当たっては,地方会における小動物部会との連携による狂犬病予防事業,動愛事業等に支障を来たさないよう十分配慮して欲しい.
C. 地方会では開業部会の活動とされている学会,動物愛護活動,啓蒙活動等をすでに実施しており,部会制導入は,地方会及び開業者にとってメリットは少ないと思われる.
D. 地方会における開業獣医師と勤務獣医師の意思の疎通が悪くならないか.
E. 地方会やその会員で構成される組織を超えて日獣が部会制を導入することは問題である.

《意見に対する考え方》
[1] 部会制の導入は,現在の本会と地方会の関係である団体会員制を基本に導入するものであり,部会と地方会の会員である構成獣医師の個々が地方会の組織の枠を越えて直結した形で運営することはない.部会の意思決定,部会への参加等は,すべて地方会を介して行うことになる.しかしながら,部会と地方会職域組織の連携確保は不可欠であり,この意味において部会制の導入は地方会の職域関係組織の整備の状況を踏まえ,推進すべきものと考える.
[2] 地方会においては,すでに個人会員制の中で各会員の職域単位に応じた活動の場が設けられているが,未整備の地方会,また,本会の部会制との連携を前提とした整備が必要な地方会においては,部会制の導入に併せ,地方会の実情を踏まえた組織整備をお願いする.

イ-2.部会の構成・運営等
《意見(要旨)》
[1] 部会の構成等
A. 定款上は「部会を置くことができる.」とし,「開業者部会」のみを特定して置くことはいかがかと考える.規則若しくは細則において「産業動物部会」,「小動物部会」,「公衆衛生部会」,「その他の部会」とし,それぞれを「協議機関」たる「企画運営委員会」として機能させてはどうかと考える.
B. 団体会員制の中での部会制の導入とするならば,開業者のみを対象とした部会構成ではなく,他の職域についても職域活動の整備・強化の観点に立ち,同時並行で部会制を立ち上げるべきではないか.
C. 現行の専門委員会については,部会制が導入された職域に係るものにあっては,発展的に整理をしてもよいのではないか.
D. 企画運営委員会の定める事業実施方針は,日獣から地方会を経て職域活動が行われることが望ましく,したがって,「開業部会員全国会議」の同時設置は時期尚早である.
E. 上意下達的運営が改善されないかぎり,新たな組織を整備しても開業者のものとなるとは思われない.小動物開業者の要望,意見が反映される組織とすることが必要である.
[2] 部会担当役員の選任
A. 産業動物部会は,全国的な産業動物の分布状況を反映した役員構成とすべきである.小動物部会は,現在の日小獣の役員構成に関わりなく,全国的な視野に立って役員を選任すべきである.
B. 部会制が導入された場合,開業者からの理事を増員する考えか.
[3] 部会を構成する獣医師の範囲
A. 日獣の職域コード大分類「41(動物病院開業)」及び「42(動物病院勤務)」に基づき,構成獣医師直接参加の事業活動等,現実的な対応を図っていくとのことであるが,動物病院勤務獣医師には研修中の者が多数であり,その所属動向は流動的であることから,現在の団体会員制による員数には年度間に誤差が生じているので,員数による算定に基づく方法を採るならば,地方会による員数報告をもって算定基礎として欲しい.
B. 部会の構成獣医師(部会員)は,日獣の職域コードに分類される動物病院開業者及び勤務者すべての者を対象としているが,現実には診療業務をほとんど実施していない団体等の定年退職者等が名義上開業している例が多く,職域コードの見直しが必要である.
C. 部会は,関係する構成獣医師全員加入とあるが,その際,当初の届出の変更もあるので,会員職域コードの区分は,改めて十分精査したうえで対応願いたい.
D. 部会は,任意加入とすべきである.
[4] 部会委員会の委員の選任等
A. 部会発足時から真に開業者の公益活動の中央組織として機能させるため,地方会から企画運営委員,各種事業推進委員会委員を送り出し,部会組織への直接参加,運営を通して部会の発展方向付けを支援する必要がある.
B. 部会制の運営に当たっては,地方会において職域活動に係る若手会員の積極的登用を願いたい.
[5] 部会事務運営
A. 事務運営は,人員増ではなく,財政健全化のための組織再編・スリム化により対応すべきである.
B. 事務局体制の強化は重要であり,増員も含めて整備されることが望まれる.
[6] そ の 他
顕彰制度の充実,整備については,その他の職域の構成獣医師との均衡を欠くことのないよう配慮する必要がある.

《意見に対する考え方》
[1] 前記アの[1]及び[2]に同じ.
[2] 部会制の目的は,団体会員制の枠組みの中で地方会の職域組織を担う人材を地方会での活動実績をベースに日獣の部会の職域活動の中に集約し,他の関係団体との協調・連携の元で,地方会そして日獣双方の職域活動の活性化を目指す方向で検討していきたい.
なお,部会制の運営は,地方会を介しての地方会職域関係組織との連携強化が必要であり,このため,部会関係委員会については,連合会,地方会,関係団体等の推薦を受けて選出された委員の活動を期待する.
[3] 本原案は理事会,地区獣医師会連合会会長会議,全国会長会議の場でも示し,地方獣医師会からも意見を伺ながら進めているが,一部,原案が決定事項のように理解されている面もあり,今後,当方の説明不足も反省しつつ,誤解のないよう対応したい.